網掛山(標高1,133m)は、長野県下伊那郡に鎮座する歴史ある低山。阿智セブンサミットのひとつです。低山ながらも遠景に素晴らしい展望台があります。四季折々の景色は息をのむほど美しく、観光客に大人気のエリアです。とくに花桃が咲く春と、紅葉シーズンが大人気です。ふもとには昼神温泉があり、日帰り温泉があり、無料の足湯が自由に利用できるのも人気の理由かもしれません。
今回は、そんな網掛山と昼神温泉にある、複数のおススメコースを難度別に紹介します。
山の名前 | 網掛山(あみかけやま) |
標高 | 1,133m |
エリア | 中央アルプス最南端 / 阿智セブンサミット(長野県下伊那郡阿智) |
基本情報 | 網掛山の基本情報(地図・天気) |
網掛山の基本情報と3つの魅力
網掛山は阿智セブンサミットの中で、もっとも登りやすい山のひとつ。ふもとからのアクセスが良好で、源泉かけ流しの温泉があるとなれば、すぐにでも行って登山やハイキングを楽しみたいですね。見晴らしも非常によい「サミット」でもあります。
今回は、そんな網掛山の3つの魅力をお伝えします。
魅力その1) 昼神温泉からダイレクトに入山!
昼神温泉の自然を彩っているのが、南に鎮座している網掛山。花桃が咲くシーズンは、形の整った網掛山が、花桃の鮮やかさをさらに引き立てています。ピークの季節は、ハイキングコースに人が溢れているはずです。網掛山なら、花桃の並木道を展望台からゆったり眺め、春の花桃や紅葉を山頂付近からのんびり満喫できます。
魅力その2) 歴史ある古代東山道の登山路
現在の網掛山の登山道は、日本書紀が書かれる以前から、東西を結ぶ「東山道」としてよく知られていました。通行困難な悪路として、人々を悩ませていたようです。網掛峠は神話でよく語られ、和歌でも詠われています。古代東山道は網掛山から神坂峠に繋がり、隣接する集落を経由していました。西方面だけでなく、長野県の飯田方面にも東山道は続いていました。
魅力その3) 園原ICから車で10分!アクセス良好の山旅
網掛山は、日本の昼神温泉郷の南に位置する山で、現在は中央自動車道の網掛トンネルが、網掛山の真下に通っています。恵那山トンネルの東側出入口が阿智村にあります。ICから非常に近いため、遠方からもアクセスがしやすいので、観光地としてにぎわっています。冬はスキーや雪山登山ができるため、ウインタースポーツでも人気が高いエリアです。
網掛山の難易度別 オススメ登山コース3選!
網掛山は、入門者 / 初心者も楽しめるウォーキング天国の地域です。温泉街近郊のハイキングコースから、日本の古代史を物語る古道の東山道トレッキングまで。旅の寛ぎ方に合わせた道をチョイスできる、魅力的な登山ルートが複数あります。ウォーキングが気楽に楽しめるよう、観光案内が整っているのも嬉しいはず。日帰り旅行も、フリープランの宿泊付きツアーや個人旅行でも人気があります。
ここでは、網掛山を代表する景色が良いルートを、難易度別でご紹介します。
難易度A【花桃街道】 昼神温泉のハイキングコース
実際の花桃街道は、言葉にできないほどに美しい!!昼神温泉は約200本の花桃が阿智川沿いに咲き乱れます。新芽が息吹いた時も、爽やかな緑が広がり清々しいです。雪が積もったときは、足跡をつけて遊ぶのも楽しいでしょう。
阿智の自然と歴史をハイキング - 地図とルート情報
難易度はAクラス!ルート状態はどうなってる?
人気は阿智川に沿って歩くコース。公共施設が運営する無料の足湯があったり、カフェやレストランもあちこちにあったりします。古代の歴史が多く残されている昼神温泉なので、神社やお寺を巡るのが楽しいはずです。霊験あらたかなパワースポットがあるので、散策途中に訪れてみてはどうでしょうか?
- 1周1.5km せせらぎの散歩道・・・阿智川を一周するコース
- 1周1.2km 恩出し木漏れ日の道・・・恩出三尊仏をお参り
- 1周1.8km 風の散歩道・・・学問の神様を祀る、阿智神社前宮への参拝
- 1周4.2km ふれあいロード・・・網掛山の裾を歩く、やや健脚向き
昼神温泉 「散策てくてくまっぷ」はコチラから(阿智☆昼神観光局/株式会社阿智昼神観光局)
網掛山の周回ルート:難易度A|定番!展望台2ケ所♪日本アルプスを望む
網掛山への登山は、昼神温泉からの網掛山周回ルートがオススメです。難易度Aの往復2時間半なので、初心者も安心して登れる網掛山です。新緑の5-6月頃と紅葉の秋は、鮮やかな色に樹木の葉が染まり、見ごたえ抜群の登山になるのは間違いありません。
以下のようなスケジュールはどうでしょうか(ヤマコレ参照)。朝から登れば、美味しいランチを食べたり、温泉にゆっくり入ったりできるでしょう。
時間:2時間36分 / 距離:3.7km / 登り:416m / 下り:411m |
08:00 網掛峠入口(大平神社駐車場) ↓ 65分:古代東山道を登る 09:05 網掛峠 展望:神坂山 ↓ 26分:網掛山頂へ進む 09:31 網掛山 ↓ 12分:なだらかな稜線を歩く 09:43 東展望台 展望:南アルプスと昼神温泉 ↓ 45分:昼神温泉側の登山ルートを下る 10:33 網掛峠入口(大平神社駐車場) |
もう少し具体的に、登山ルートについてご説明いたします。
温泉街から簡単アクセス♪ - 網掛山 地図とルート情報
難易度はAクラス!ルート状態はどうなってる?
カラマツ林の中は、急な山腹を蛇行しながら登っていきますが、難易度はAクラスなので困惑することはないでしょう。網掛峠(標高971m)に到着すると、古代東山道がつづく神坂山が見えます。山頂は木々でおおわれています。
東側の展望台からは南アルプスや昼神温泉の景色を望むことができます。思った以上に遠くまで見渡せるので、きっと驚くことでしょう。山頂付近はなだらかなので、ゆったりと四季折々の景色を堪能できるはずです。
殿島ルート:難易度C|古代東山道縦走 昼神温泉→殿島登山口(園原IC)
西暦701年頃、東山道は国道のような扱いでした。道中にある網掛山に「網掛峠‐神坂峠」という難所があると、旅路の前にはいつも噂に。今でも「網掛峠‐殿島登山口」はトレッキングの難所になっています。山腹を片側にしてナナメになって進み続けるため、集中がとぎれると谷へ転がり続けてしまいます!草鞋で大きな荷物を持って網掛峠を行くのは、命がけだったでしょう。
ここでは、古代の人々が旅路に悩んだ、古代東山道のトレッキングについて、ご説明いたしますね。
網掛山の古道トレキングコース - 古代東山道 地図とルート情報
時間:5時間07分 | 距離:5.7km | 登り:641m | 下り:485m |
行動予定 | 08:00 スタート地点 - 09:30 東展望台 - 09:46 網掛山 - 10:07 網掛峠 - 14:07 殿島登山口 |
難易度は中級クラス!ルート状態はどうなってる?
網掛峠から殿島登山口までのルートは、ゆるい下りが2時間続きます。進む方向への傾斜は穏やかです。山腹を横に進むので、足元がかなり狭い登山路で歩きにくい所がちらほらあります。橋が完全に崩壊していないため、そのまま通行可能ですが、痛んでいる部分があります。苔むした木の橋を渡るのを、面白がる余裕のある、トレッキング経験が必要です。トレッキングの最後は高速道路に沿いの林道のような道を歩きます。殿島登山口は、園原ICの料金所手前にある空きスペースにあります。
古代東山道について - 網掛山の道案内板より
大宝元年(701年)、朝廷は近江国(滋賀県)を拠点に、「東山道」という道路をつくりました。道は美濃の国(岐阜県)を経て、上毛野(群馬県)・下毛野(栃木県)より陸奥・出羽国(東北地方)へ通じていました。長さ約1,000kmの長い道のりでした。
東山道は大和政権が地方を服従させるための「支配・軍事の道」であったと同時に、九州北辺の防衛に徴用された「防人の道」、税物を背負って歩いた「納税の道」、さらには信濃の国で生産された馬を都に運ぶ「貢馬の道」として、利用されていました。
東山道の中でも、美濃・信濃両国は厳しい山道が多く、特に最大の難関は御坂峠超えでした。
都でも通行困難な場所としても知られ、古事記・日本書紀をはじめとして多くの古文学(歌・漢詩・物語)に地名や歌枕として、とりあげられてきました。
網掛山を登山するためのQ&A
Q1. 花桃が一番きれいな時期はいつですか?
ちょうどゴールデンウィークが見ごろで、4月下旬から5月上旬に花桃が満開になります。駐車場は満車になりますが、花桃街道のエリアは広大なので駐車場からも、春の美しい景色を眺められます。登山をされる方なら、花桃散策は苦痛を感じないはずです。
Q2. 阿智セブンサミットを縦走することはできますか?
網掛峠から神坂峠まで上級者用の縦走ルートがあり、富士見台高原へと続いています。富士見台高原から近いヘブンス園原や、神坂峠の近くに駐車場がありますので、縦走する方はそれほど多くありません。昼神温泉に宿泊すれば、網掛山からヘブンス園原まで縦走し、タクシーや無料バスで帰ることができます。網掛山は周回が好まれているようです。
Q3. 網掛山の山小屋や避難小屋 / トイレの情報を教えてください。
登山は往復2時間半と短時間のため、山小屋は網掛山にはありません。登山を開始する前に、ふもとにある公衆トイレをご利用ください。
網掛山 | 登山口へのアクセス・各種情報
大平神社の無料駐車場情報
殿島登山口の無料駐車場
電車&バス・・・網掛山へは昼神温泉行きで
JR中津川駅と上諏訪駅から、昼神温泉行きの直通バスが運行されています。昼神温泉へ宿泊する場合は、フリープランのツアーが割安です。
網掛山周辺のオススメ山路スポット
おだやかで自然豊かな網掛山と温泉郷は、現在も観光スポットやハイキングで大人気です。日本書紀が執筆される前より、人々が往来する重要拠点でもありました。ほんの少しだけ小道の寄り道をすると、重厚な歴史を感じる阿智村を体験できるでしょう。ここでは、登山後の少しの観光にピッタリな、山路スポットを2つ紹介します。
【昼神温泉 足湯 ふれあいの湯】源泉かけ流しが無料!!
24時間無料で自由に利用でき、贅沢にも「源泉かけ流し」で、そのうえ公共の足湯です。加水、加温、循環、入浴剤の利用、消毒は一切していない天然のお湯です。阿智川を眺めながら、足湯につかれます。駐車場もすぐ横にあって無料なのです。温泉の泉質はアルカリ性単純硫黄温泉です。登ったあとに温泉で足を暖めて、身体を整えるとよいでしょうね。
【阿智神社奥宮】古代出雲大社も見据えたパワースポット!
阿智神社の創祀年は不明で、かなり古い時代から存在していた形跡があります。東山道として栄えた時代があるため、戸隠神社(とがくじんじゃ / 長野県北部)の元宮だったのではないかとも言われているほどです。
丘の頂にある巨石は、神霊が降りる磐座だったと、最近になって分かってきました。阿智神社に伝わる伝説によると、第8代天皇の孝元天皇にまつわるようです。即位5年目の春の正月に、天八意思兼命が子神の天表春命と共に信濃国に降りたち、鎮座したと語り継がれています。出雲系の諏訪族に対抗するため、阿智の村に駐留したそうです。奥宮の場所は、子神の天表春命の墓とされています。子孫がこの阿智神社を守り続けてきたと、1300年以上にわたり、阿智で語り継がれています。
阿智セブンサミットの網掛山は、登りやすい難易度A!
初心者も上級者も、豊富な難易度別コースで楽しむ、昼神温泉のハイキング&登山をご紹介しました。園原ICから近く、登山路までもスムーズに行ける網掛山は、ゆったり楽しむウォーキングにピッタリです。季節の風情を堪能できるので、シーズンごとに訪れてもよいでしょう。