仏果山(ぶっかさん)は、丹沢山塊の北東部に位置する標高747mの秀峰で、神奈川県愛甲郡愛川町と、愛甲郡清川村の境界上にあります。
「半原(はんばら)富士」と呼ばれる初心者向けの郷土富士ですが、標高のわりには登りごたえがあり、ファミリーやグループのハイキングにおすすめです。
仏果山の基本情報と魅力
丹沢山塊の北東の端に位置する仏果山は、高取山を経由して宮ケ瀬ダムへ向かうハイキングコースの山として知られています。
仏果山という名前は、室町時代に仏果という僧侶がこの山で座禅修業をしたことが由来とされており、座禅に使われた石が現在の土山峠に残されています。
仏果山への登山は年間を通じて楽しめますが、特に新緑の春~初夏、展望の美しい秋~初冬はおすすめです。
山頂には鉄塔状の展望台があり、そこからの眺めは美しい宮ケ瀬湖を囲むように大山から丹沢山塊、関東平野と360度に広がり、仏果山登山の見どころといえます。
山の名前 | 仏果山(ぶっかさん) |
標高 | 747m |
都道府県 | 神奈川県 |
エリア | 関東 |
山域 | 丹沢山地 |
地図・天気など | 詳細情報 |
魅力その①:宮ケ瀬湖や丹沢山塊の絶景が楽しめる
仏果山の山頂からは、青く輝く宮ケ瀬湖を中心に、大山、蛭ヶ岳、塔ノ岳など丹沢の山々の展望がぐるりと見渡せます。鉄塔状の高い展望台に登れば、その眺望が眼下に広がり、感動を覚えるでしょう。
魅力その②: 手軽でありながら本格的なハイキングが楽しめる
仏果山は、「北アルプスを登るほど上級者ではないが、高尾山のように何もかも整備された登山道はちょっと物足りない」という首都圏のハイカーにとっておすすめの山です。
標高は747mとそれほど高くはありませんが、うっそうとした樹林帯、急登、岩場、クサリ場、ヤセ尾根など歯ごたえのある登山道は手つかずの自然を感じさせ、充実感をもたらしてくれます。
人気の高い東丹沢にあって、知名度が今一つなせいか登山者がそれほど多くなく、静かな山歩きが楽しめるのも魅力といえるでしょう。
魅力その③:疲労度やスキルに応じて登山ルートを変更できる
仏果山の登山ルートはたくさんあり、登山道には道標がしっかり整備されているため、スキルや当日の疲労度に応じて臨機応変にルートを変えられるのも仏果山登山の魅力の1つといえます。
例えば、後述する経ヶ岳~仏果山~高取山から宮ケ瀬ダムへと降りる縦走ルートを、高取山から下山道のきつい宮ケ瀬ダム方面へと向かわず、緩やかな愛川ふれあいの村方面へと下山したリ、初心者向けの仏果山~高取山ピストンコースをレベルアップして周回コースへと変更したりできます。
仏果山の難易度別おすすめ登山コース
仏果山への登山ルートはいくつもありますが、その中からおすすめを3つ紹介します。
【初心者におすすめ】仏果山・高取山ピストンコース
宮ケ瀬湖畔の仏果山登山口から宮ケ瀬越の分岐を右に折れて仏果山へ行き、分岐に戻って高取山へ向かい、再び宮ケ瀬越の分岐から仏果山登山口へと戻る、初心者向けの往復コース。仏果山登山ルートのスタンダードコースで、ファミリーハイキングにおすすめです。
ルート紹介
大棚沢広場→(1分)→仏果山登山口→(1時間)→宮ケ瀬越→(20分)→仏果山→(15分)→宮ケ瀬越→(10分)→高取山→(60分)→仏果山登山口
※休憩時間:約30分
必要日数 | 日帰り登山 |
総距離 | 6.7㎞ |
コースタイム | 3時間35分 |
累積標高 | 上り:673m 、下り:673m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
詳細レポート
宮ケ瀬湖畔にある仏果山登山口バス停横の登山口からスタート。杉の樹林帯を登っていくと、仏果山と高取山の分岐である宮ケ瀬越に到着します。分岐を右に進み20分ほどで仏果山山頂へ。木よりも高い鉄塔(展望台)に上ると宮ケ瀬湖や丹沢山塊など圧巻の展望が広がります。
仏果山からは今来た道を通って宮ケ瀬越の分岐へ戻り、高取山へ。山頂には仏果山同様、展望台の鉄塔があります。高取山からは再び宮ケ瀬越へ戻り、登山口へと下山します。
駐車場
宮ケ瀬湖の湖畔にある大棚沢広場の無料駐車場を利用します。トイレなどの設備はありませんが、宮ケ瀬湖を臨む景色が素晴らしく、広場には展望台もあります。
- 収容台数:15台
- 料金:無料
- 時間:8:00~17:00
- 標高:290m
- トイレ:なし
- 登山ポスト:バス停付近にあり
- 自販機:なし
【初級者におすすめ】仏果山・高取山を周回する半原コース
半原地区にある仏果山登山口から関東ふれあいの道を通って仏果山~宮ケ瀬越分岐~高取山を回る周回コース。意外と登りごたえがあるので、山歩きの経験がある人におすすめです。
ルート紹介
愛川ふれあいの村キャンプ場→(1時間30分)→仏果山→(20分)→宮ケ瀬越→(10分)→高取山→(1時間)→愛川ふれあいの村キャンプ場
※休憩時間:約1時間
必要日数 | 日帰り |
総距離 | 7.0㎞ |
コースタイム | 4時間2分 |
累積標高 | 上り:680m 、下り:680m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
詳細レポート
樹林帯の登山道を登っていきます。林道を横切りひたすら登っていくと鉄塔が現れ、いきなり眼下に相模平野が開ける展望の良い場所に着きます。
さらに急登を登りつめると展望台のある仏果山山頂に到着します。
山頂からは左に経ヶ岳へ向かうルートがありますが、右のロープの付いた道を下っていき、宮ケ瀬越分岐を経て高取山山頂へと向かいます。
高取山からは宮ケ瀬湖方面への道と愛川ふれあいの村方面への道とがありますので、後者の緩やかな道を下り、途中、馬場と愛川ふれあいの村分岐点も右の愛川ふれあいの村方面へと下山します。
駐車場
最寄りの駐車場は神奈川県立愛川ふれあいの村となり、事前予約が必要です。愛川ふれあいの村からは仏果山・高取山方面への標識に沿って歩いていくと、登山口に到着します。登山口には簡易トイレと登山ポストが設置されています。
- 収容台数:70台+30台
- 料金:無料
- 電話(事前予約):046-281-1611
- 標高:222m
- トイレ:登山口にあり
- 登山ポスト:登山口にあり
- 自販機:なし
【健脚の方におすすめ】経ヶ岳・仏果山・高取山縦走コース
相州アルプスとも呼ばれる経ヶ岳・仏果山・高取山を縦走して宮ケ瀬ダムにゴールするコース。ピーク間の高低差があり、ヤセ尾根や岩場、クサリ場もあるため、標高のわりにハードです。しっかりとした歩きごたえを求める健脚者におすすめします。
ルート紹介
半僧坊前バス停→(1時間30分)→経ヶ岳→(20分)→半原越→(20分)→土山峠との分岐→(20分)→革籠石山→(40分)→仏果山→(25分)→宮ケ瀬越→(15分)→高取山→(1時間)→宮ケ瀬ダム
※休憩時間:約1時間15分
必要日数 | 日帰り登山 |
総距離 | 11.5㎞ |
コースタイム | 6時間11分 |
累積標高 | 上り:1,219m 、下り:1,186m |
難易度 | ★★★☆☆ |
詳細レポート
経ヶ岳登山口から沢沿いの道を進み、山腹の斜面をグングン登っていきます。林道を渡り、関東ふれあいの道と書かれた急登を詰め、経ヶ岳の山頂へ。山頂からは蛭ヶ岳をはじめとした丹沢の山並みが一望できます。
経ヶ岳を過ぎると、山名の由来にもなっている「経岩」という弘法大師ゆかりの大きな岩が出てきます。
経岩から下っていくと半原越の車道に突き当たり、車道の向かいに仏果山への登山道が続きます。
ここからは歯ごたえのある登山道となります。クサリ場の急登を登りつめると仏果山山頂です。
仏果山からは他のルートと同じく宮ケ瀬越を経て高取山へ。高取山からは宮ケ瀬ダム方面へと下山します。下山後は宮ケ瀬ダムで観光するのもいいですね。
駐車場
このコースにマイカーでアクセスする場合、経ヶ岳と仏果山の間にある半原越(はんばらごえ)の駐車場を利用します。自販機やトイレなどありませんが、湧水があります。
- 収容台数:3台(路肩)
- 料金:無料
- 時間:規定なし
- 標高:485m
- トイレ:なし
- 登山ポスト:なし
- 自販機:なし
仏果山のQ&A
仏果山で多い質問は、難易度、駐車場、ヒルなどです。回答と併せて紹介します。
Q1:仏果山の難易度はどれくらい?
仏果山は、ところどころ急登や岩場などがあり登りごたえがありますが、トータルでの難易度は高くありません。ルートによっては家族連れにもおすすめできる、初心者~初級者向けの山です。
Q2:仏果山登山の駐車場はどこ?
最もおすすめできる駐車場は、宮ケ瀬湖畔にある大棚沢広場駐車場です。無料ですが、利用時間帯が朝8時から夕方5時までと限られており、それ以外の時間は閉鎖されるので注意してください。
Q3:仏果山にヒルはいる?
仏果山はヤマビル多発地帯のため、冬期以外はヤマビル忌避剤を持参するなど対策が必要です。
登山口へのアクセス・各種情報
仏果山への登山口は登山ルートによって異なりますが、いずれの登山口へもバスで簡単にアクセスできます。ここでは、それぞれの登山口への詳しいアクセス方法を紹介します。
仏果山登山口(大棚沢広場または仏果山登山口バス停)
宮ケ瀬湖畔の大棚沢広場駐車場またはバス停仏果山登山口から、宮ケ瀬越分岐を経て仏果山・高取山をピストンするルートの起点となる登山口で、マイカー、バスどちらでも簡単にアクセスできます。登山口にはトイレや自販機などはありませんが登山ポストがあります。
マイカーでのアクセス
大棚沢広場駐車場は、東名高速厚木ICから国道129号、246号、県道64号を経て約17㎞。中央道相模湖ICから国道20号、412号を経て約25㎞の距離です。すぐ先にある上村橋のたもとに仏果山登山口バス停があり、その横に登山口の階段があります。
バスでのアクセス
バス停仏果山登山口は、宮ケ瀬湖畔にある神奈川中央交通のバス停です。バス停すぐ横が登山口の階段となっているため大変便利です。小田急線本厚木駅から【厚20】【厚21】系統の宮ケ瀬行きバスに乗り、仏果山登山口下車。1時間に1本程度の運行間隔なので時刻表を確認しておきましょう。
仏果山登山口(半原ルート)
仏果山、高取山を周回する半原ルートの起点となる登山口で、マイカーでもバスでもアクセスできます。登山口にはトイレ、登山ポストはありますが、自販機や売店はありません。
マイカーでのアクセス
神奈川県立愛川ふれあいの村駐車場を事前予約して利用します(電話:046-281-1611)。愛川ふれあいの村は、圏央道相模原ICから約15分、厚木ICから約30分の距離です。
バスでのアクセス
小田急線本厚木駅から【厚1】または【厚2】半原行きの神奈中バスに乗り、終点半原下車。所要時間44分。半原バス停から仏果山方面の標識に沿って民家の間を上っていくと30分ほどで簡易トイレのある仏果山登山口に到着します。なお半原バス停にもトイレがあります。
経ヶ岳登山口(半原越、相州アルプス縦走コース)
経ヶ岳から半原越を経て、仏果山~高取山と縦走するコースの起点は経ヶ岳登山口です。経ヶ岳登山口へはバスでアクセスします。
バスでのアクセス
小田急線本厚木駅から半原行きの神奈中バスに乗って、半僧坊前バス停で下車。所要時間は約42分。バス停から車道を少し戻ると大きくカーブする地点に登山道入口があり、経ヶ岳・半原越ハイキングコースの標識が出ています。登山口には登山ポストとヤマビル除けの塩が置いてありますが、トイレなどはありません。
マイカーでのアクセス
車では経ヶ岳登山口にアクセスできません。清川村の県道64号線と愛川町の国道412号線を結ぶ、法論堂(おろんど)林道と南山林道が合流する半原越の駐車場を利用します。
愛川町からは国道412号を、清川村からは県道64号線を進んでいきます。トイレや自販機などはありませんが湧水が出ていて、鹿や猿が目撃されるなど自然が豊かな場所です。
仏果山周辺のおすすめ山旅スポット
仏果山があるエリアには、立ち寄るのにおすすめのスポットがあります。
宮ケ瀬ダム
首都圏最大のダム、宮ケ瀬ダムでは観光放流が行われています。毎秒30㎥の水が高低差70mの壁を約6分間流れ落ちるさまは、圧巻の一言。ダムの上下を結ぶケーブルカー「インクライン」に乗るのもスリルと迫力が味わえ、おすすめです。
【宮ケ瀬ダム観光放流日】
- 4月~11月の毎週水曜日、毎月第2日曜日、第2・第4金曜日
- 11:00~、14:00~
県立あいかわ公園
宮ケ瀬ダム直下の河岸段丘上に広がる公園。広大な敷地には「じゃぶじゃぶ池」や「ふわふわドーム」など子供が喜ぶ遊具がいっぱい。眺望抜群の「風の丘」や、春には一面のツツジが咲き誇る「花の斜面」などもあり、ファミリーで楽しめます。
アイス工房CASALINGA(カサリンガ)
仏果山からほど近い、神奈川県随一の広さを持つ服部牧場内にあるアイスクリームファーム。服部牧場産の牛乳のみを使用したソフトクリームやイタリアンジェラートなどが味わえます。