子檀嶺岳(こまゆみだけ)は、長野県のほぼ中央に位置する青木村にある山で、信州百名山のひとつです。標高差500mほどのよく整備されたコースで、山頂からは東信地区を見渡す展望が広がっているので、初心者の方にもおすすめです。
子檀嶺岳には、青木村から登る3つのコースがあります。それぞれのコースの見どころや登山口情報、注意点などを開設していますので参考にしてみてください。
子檀嶺岳の基本情報と魅力
子檀嶺岳の標高は、1,223mで低山や里山と呼ばれる部類に入ります。しかしながら、その山容は荒々しく岩壁が切り立っています。登山コースにも急登区間があり、骨のある登山を楽しめるでしょう。
子檀嶺岳は、別名を冠者岳といい、古くから地元の人々の信仰の山でした。また、戦国時代には真田氏の城塞が築かれていたとされており、そのまま子檀嶺岳城とも呼ばれています。
1年中登ることが可能な子檀嶺岳ですが、冬のシーズンには積雪があり、コースによっては急登区間があるので注意が必要です。しかし、冬は空気が澄み切って遠くまでくっきりと見渡すことができるためおすすめの時期でもあります。
山の名前 | 子檀嶺岳(こまゆみだけ) |
---|---|
標高 | 1,223m |
エリア | 甲信越 |
詳細情報 | 子檀嶺岳の地図・天気 |
魅力その①東信地方を見渡す大展望
子檀嶺岳に登る一番の魅力は、山頂からの大展望になります。
青木村や塩田平の田園風景。北アルプスや浅間山などの山々を見渡す360度の絶景。里山でありながら、なかなかに厳しい急登を登った先に、心癒される景色が待っています。
まさに1年に数日しかない空気が澄んだ冬の快晴の日には、鹿島槍ヶ岳や五竜岳をはじめとした北アルプスや四阿山・根子岳・浅間山と東信地区を代表する山、南には八ヶ岳や美ヶ原などを見渡すことができます。
標高の高い有名な山に登るのも良いですが、その周りにある里山から自分が登ったことのある有名な山々を見るのも登山の醍醐味です。
魅力その②信仰と山城の歴史
青木村には各地に子檀嶺神社という祠や神社があり、山頂の3つの祠がこれら子檀嶺神社の奥社となっています。山頂の奥社には当郷・村松・田沢の3地区の土産神が祀られ、古くからこの地区の人々の信仰の的であり、誇りの山となっています。
また、戦国時代には「第一次上田合戦」において塩田衆が真田氏に謀反を起こして籠城したのが、この子檀嶺岳城であったと言われています。山頂の稜線には堀切などのかつての名残が見え、標高1025m付近では伏勢堀という珍しい遺構も見られます。
魅力その③周辺にある様々な温泉
子檀嶺岳から近い範囲に多くの温泉が湧き出ており、それぞれ特徴的な温泉を楽しむことができます。
もっとも近くにあるのは、飛鳥時代後半の開湯と言われており、少しぬるめのお湯が特徴的な田沢温泉です。同じ青木村には、平安時代開湯の沓掛温泉もあります。こちらもぬるめのお湯ですが、硫化水素臭は弱めです。
子檀嶺岳の北側に回り込むと、単純硫黄泉で熱めのお湯が源泉かけ流しとなっている室賀温泉。南側に回れば、信州一の歴史があると言われている有名な温泉地・別所温泉もあります。
登山後の疲れを癒しに、各地の温泉を巡ってみてはいかがでしょうか。
子檀嶺岳の難易度別おすすめ登山コース
子檀嶺岳の3つのコースはどれも標高差は500mほどと、それほど時間や体力は必要ありません。しかし、山容からもわかるようにコースによっては急登区間があるので、自分の体力などに合わせて選ぶようにしましょう。
当郷菅社コース
子檀嶺岳に至る3つのコースの中で、最も人気でオーソドックスなコースです。青木村から見た時に右側に見える尾根を行くコースで、急登区間もありますが初心者の方でも十分に登ることができるでしょう。駐車場や登山者休憩所もあり、施設面からしても登りやすいコースです。
①登山者休憩所→5分→②当郷菅社コース登山口→60分→③標高980m地点→45分→④山頂→35分→⑤標高980m地点→45分→⑥当郷菅社コース登山口→5分→⑦登山者休憩所
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 3時間15分 |
距離 | 約4.8km |
累積標高 | 約565m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
当郷菅社コースには2つの駐車場があります。1つは登山口の手前、集落内にある「登山者休憩所」の駐車場です。5~10台ほどのスペースがあり、休憩所やトイレがあるので便利です。もう一つは、その先ゲート手前にある無舗装の空き地のような駐車スペースです。こちらは10台ほどの駐車スペースがありますが、トイレ等の施設はありません。
登山者休憩所もしくはその先の駐車場から獣除けのゲートを開け進んだ先にある登山口からスタートします。竹林を通り、よく整備された松林の中の登山道を登っていくと、強清水の看板が出てきます。登山道から少し離れるだけなので、寄ってみても良いでしょう。
ここまで来るとほぼ中間点です。傾斜が緩やかになると林道のような広さの道に変わります。400~500mほど行くと、林道との分岐となり左の登山道へ進みます。ここからが後半戦、山頂直下の急登の始まりです。
杉林の中の急登をジグザグに登っていきます。子檀嶺岳の北斜面に回り込んでいるので、冬期間は道の凍結や積雪に注意が必要です。おおよそ標高1000m~1200mの間の核心的急登区間をやり過ごせば、山頂はすぐです。
山頂には、青木村の方を向いている3つの祠があり、子檀嶺岳神社奥社となっています。
山頂部は開けており、眼下に広がる青木村や塩田平、上田市を一望できます。また、遠くは鹿島槍ヶ岳や五竜岳などの北アルプスから四阿山・根子岳・浅間山の東信地区を代表する山々、そして南には八ヶ岳や美ヶ原、独鈷山と多くの山を望むことができるビュースポットです。
村松西洞コース
子檀嶺岳の南斜面、青木村から見た時に正面に見える斜面を登っていくコースです。3つのコースの中で最も急で険しいコースになります。そのため、急登を登ったり岩壁の脇を通ったりするなど登山らしい景色や達成感をあじわうことができるコースでもあります。
①林道ゲート→15分→②村松西洞コース登山口→45分→③標高957m地点→40分→④山頂→30分→⑤標高957m地点→35分→⑥村松西洞コース登山口→15分→⑦林道ゲート
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 3時間00分 |
距離 | 約3.9km |
累積標高 | 約560m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
村松西洞コースの駐車スペースは、青木村村松地区を進み林道ゲートの先右側にある10台ほどの路肩スペースになります。ゲート手前にも駐車スペースはありますが、地元住民の迷惑にならないように注意しましょう。
ゲートから400~500mほど林道を進んだ先の登山口から始まります。丸太の橋で沢を渡り、斜面に取りついていきます。ちらほらと見え隠れする山頂を見上げながら、なかなかの急斜面を登っていきますが、核心部はこの先です。
981mのピークを左に見ながら巻いていくと、山頂までおおよそ60分の看板に出ます。ここからがこの村松西洞コースの核心部になります。子檀嶺岳を見た時に正面に見える岩壁を右側に見ながら、最後の急登区間になります。
木の根と岩の大きな段差に注意しながら登っていくと、「危険!近づくな!岩がもろくなっています。」と書かれた仏岩の看板に出ます。ここからさらに斜度が上がり、すぐ近くに感じる山頂にも関わらず時間がかかります。マイペースにゆっくり行きましょう。
田沢・修那羅峠方面との分岐の看板に出れば、急登も終わり、すぐに山頂となります。
田沢嶺裏コース
坂井村の方に越えていく修那羅峠方面から登る、青木村から見ると左の裏側に見える場所から登っていきます。登山口が標高950mほどの場所にあり、3つのコースの中で最も簡単に登れるコースです。
①林道ゲート→35分→②田沢嶺裏コース登山口→30分→③山頂→25分→④田沢嶺裏コース登山口→30分→⑤林道ゲート
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 2時間00分 |
距離 | 約4.2km |
累積標高 | 約300m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
田沢嶺裏コースは、修那羅峠からわき道に逸れ、みすず精工の工場前から林道へ入ってすぐのところにゲートがあり、その手前に駐車スペースがあります。2,3台ほど駐車可能なスペースで、トイレ等の施設はありません。
ゲートから入ると、未舗装の林道が続いており奥へ進んでいきます。このコースの半分ほどは、この林道歩きになります。30分ほど歩くと登り口に到着です。
標高差100mほどの斜面を直登するように登っていくと、稜線に出ます。稜線は緩やかで、ところどころ見晴らしが開けていますので、ゆっくりと景色や植物を楽しみながら行くといいでしょう。500~600mほど稜線歩きをすると、山頂に到着です。
子檀嶺岳のQA
子檀嶺岳に関する質問で多いのは、登山ルートや気温・積雪などに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。
子檀嶺岳の登山レベルは?初心者でも登れる?
子檀嶺岳の3つのコースどれでも初心者の方から問題なく登山することができるでしょう。登山道はよく整備されていますし、基本に忠実に登山道を行けば道迷いのリスクも少ないでしょう。
体力的に心配な方は、最短・最小標高差の田沢嶺裏コースからをおすすめします。林道歩きが半分ほどあり、物足りなさを感じるのであればより登山感のでる当郷菅社コースや村松西洞コースに挑戦してみましょう。
子檀嶺岳の気温は?どんな服装で行けばいい?
子檀嶺岳のある青木村の月ごとの平均最低気温と最高気温を下記の表にまとめました。冬の最高気温は1桁ですが、夏場は30℃を超えてきます。また、同じ月でも最高と最低が10~15℃ほどの差があり、寒暖差が激しい地域です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温 | 6 | 7 | 11 | 18 | 24 | 27 | 30 | 31 | 26 | 20 | 14 | 8 |
最低気温 | -6 | -5 | -2 | 4 | 10 | 15 | 20 | 20 | 16 | 8 | 2 | -3 |
夏は非常に暑くなります、熱中症予防をきちんとするようにしましょう。7,8月を除けば、日によっては冷え込む場合があるので春や秋でも上着を持っていくといいでしょう。
冬期間はしっかり冷え込みますので、冬の低山用の防寒着に念のためダウンジャケットなどを持っていくと安心です。ただし、積雪は少ない地域ですので、降雪直後でない限り雪装備は滑り止めチェーンで十分でしょう。
子檀嶺岳で見られる山の花は?見ごろは?
子檀嶺岳では、以外にも多くの山のお花を見ることができます。特に、5~6月ごろの山頂は小さなかわいらしいお花が多く咲いています。
子檀嶺岳で見られるお花とその見ごろを表にまとめたので、参考にしてみてください。
山の花 | 見ごろ | 山の花 | 見ごろ |
---|---|---|---|
ヤマツツジ | 4月 | ウツボグサ | 6~7月 |
オトコヨウゾメ | 4~5月 | ギンリョウソウ | 6~7月 |
ツクバネウツギ | 4~6月 | アマドコロ | 7月 |
ササバギンラン | 4~6月 | フタリシズカ | 7月 |
マムシグサ | 5~6月 | トリカブト | 9月 |
登山口へのアクセス・各種情報
子檀嶺岳の登山口へのアクセスは車がおすすめです。当郷菅社と村松西洞の二つの登山口は、平日の時間帯によってはバスの利用も可能です。
当郷菅社コース登山口
登山口情報
青木村当郷地区の狭い道を進んでいくと、民家が無くなった先に栗林があり、その右手側が駐車場です。無舗装ですが10台ほど駐車できるスペースがあります。
200mほど手前には「登山者休憩所」があり、トイレを利用することができます。こちらに駐車して歩いて行っても良いでしょう。
登山口までのアクセス
車にて
上田菅平ICより約30分
公共交通機関にて
上田駅から青木村バスターミナルまで路線バスで30分、青木村バスターミナルからは村営バス
青木村バスターミナルからは、村営バスが運行しています。時間帯により予約に応じて運行するフルデマンドになったりしますので、詳しくは青木村のホームページからお問い合わせください。
村松西洞コース登山口
登山口情報
青木村村松地区の道を進んでいくと、林道にゲートが現れます。このゲートを開けて、先に進んだ先の舗装終了地点手前の右側が駐車スペースです。無舗装の路肩ですが10台ほど駐車できるスペースがあります。こちらには、トイレ等の施設はありません。
登山口までのアクセス
車で
上田菅平ICから約30分
公共交通機関で
上田駅から青木村バスターミナルまで路線バスで30分、青木村バスターミナルからは村営バス
青木村バスターミナルからは、村営バスが運行しています。時間帯により予約に応じて運行するフルデマンドになったりしますので、詳しくは青木村のホームページからお問い合わせください。
田沢嶺裏コース登山口
登山口情報
修那羅峠の途中からみすず精工の方へ進むわき道に入り、工場手前から無舗装の林道に入った先に駐車場があります。車止めゲート手前の路肩スペースに、2,3台ほど駐車可能です。トイレ等の施設はありません。
登山口までのアクセス
上田市方面から
麻績村方面から
子檀嶺岳周辺のおすすめ山旅スポット
田沢温泉 有乳湯
青木村にある2つの温泉のうち、子檀嶺岳に近い方の共同浴場です。大人200円で入浴することができ、ぬるめの単純硫黄泉は体の疲れを吹き飛ばしてくれると評判です。
昔ながらの風情がある温泉街にて、登山の行程を思い出しながらの入浴は格別のものがあります。
蕎麦屋やまさん
子檀嶺岳から少し南に入っていったところに、蕎麦屋やまさんはあります。基本はランチのみの営業ですが、予約をすればそれ以外の時間でも対応してもらえることがあります。
本格的な手打ちそばのほかに、カレーや親子丼などのメニューもあり充実しています。特に、もりそばに前菜、てんぷら、サラダにローストビーフがついた”やまさん御前”は、ボリュームもありながら健康にも配慮した栄養バランスになっておりおススメです。
松茸山 別所和苑
青木村からひとつ南に行くと、信州の鎌倉ともいわれる塩田平があります。この塩田平はマツタケの産地としても有名で、数多くの松茸小屋があります。
松茸山の中にあるこちらの別所和苑では、松茸料理のフルコースがいただけます。コース全てのお料理が松茸料理でありながら、最も安いコースで6900円からいただけます。