谷川連峰について
谷川連峰は新潟県と群馬県の県境にあり、関東平野と越後平野とを分ける山々の分水嶺の中では最も幅が狭く、そこに標高2000m級の山々が並ぶことから風の通り道となり多い積雪、年間を通じ変わりやすい天候、一ノ倉沢には万年雪と気象学的に特徴的な山域です。その気象の厳しさから標高1,500m付近から笹原が広がる森林限界となり、比較的低い場所でも珍しい高山植物を見ることができます。
天候が安定していれば谷川岳ロープウェイを利用し、初心者でも気軽に登れる谷川岳の夏ー秋山シーズンは多くの登山者が訪れます。標高は2000mに満たない谷川連峰ですが日本アルプス並みの景観が楽しめ、西へは万太郎山、仙ノ倉山、平標山、北へは茂倉岳、武能岳への縦走・周回するロングトレールも人気です。
今回のルート
2023年06月18-19日、谷川岳ロープウェイを利用する群馬県側からの人気ルートではなく湯沢町は土樽、茂倉新道登山口から登り茂倉岳避難小屋→茂倉岳→谷川岳→万太郎山→吾策新道登山口の19キロを2日かけゆっくり周回します。
茂倉岳について
茂倉岳は標高1,978mと谷川岳に勝る高さ。山頂直下には立派な茂倉岳避難小屋があります。南は一ノ倉・谷川岳、北は武能岳・大源太山に繋がる連峰縦走の要所にありますが、観光地化された群馬側のような混雑はなく静かな山旅が愉しめます。
で、す、が、熊出没報道の相次ぐこの頃、あまりに人が少ないのも少々不安です。過去に強い獣臭、茂みを進む動物の気配と唸り声、、、なんてこともありました。茂倉岳に限らず単独行動は特に危険、熊対策の知識と装備は必須ですね。
紹介する山 | 茂倉岳 |
都道府県 | 新潟県南魚沼郡湯沢町・群馬県利根郡みなかみ町 |
山域 | 上信越高原国立公園 三国山脈 |
標高 | 1,978m (茂倉岳) 650m (茂倉新道登山口、緑地駐車場) |
天気・アクセスなど | 茂倉岳の詳細 |
茂倉新道登山口、緑地駐車場より出発
緑地駐車場の様子、日曜朝9時近くですが余裕があります。この日の平標山の登山口駐車場は7時前には満車だったようで。トイレも自販機も無いので、あらかじめ周辺(近くは無いです)のコンビニエンスストアで各種補給をするのが良いでしょう。
■茂倉新道登山口 緑地駐車場
https://goo.gl/maps/YmMyjpBAatJvxJ9M8
■セブン-イレブン 中越湯沢神立店
https://goo.gl/maps/R628eB7PqCmdHncq7
■ローソン 湯沢岩原店
https://goo.gl/maps/oaEjjsTac795dExeA
茂倉岳山頂まで4.7km、標高差は1300mなので、初っ端から急登の連続となります。幸いこの日の前日は晴れでドライな道でしたが、雨上がりは壮絶な「泥んこ祭り」。チェーンスパイク装着を考えます。
特に滑りやすい急登、難所には確実にロープがあるのはありがたい、頼れるものは頼りましょう。
足元には可憐なイワハゼ
鬱蒼とした樹林帯を抜け、木立の間隔が少し空く中間部は「ナチュラル過ぎる」バリアが相次ぎ、本当にルートなのかと疑いますが間違いありません。
根っこ好きには堪らないでしょう、そびえる根っこのバリケード、登山道です。
しつこいようですが登山道です、本当です。登山者少ない故に踏み跡も見てとれない、、、左右は落ちてるので通れるのはここだけ。
今年はベニサラサドウダンの当たり年とのことで、そこかしこマゼンダカラーで染めてました。
定番のイワカガミもちらほらと。
「矢場の頭・標高1490m」で休憩
茂倉岳までの行程の中間点、唯一の「ゆっくり休める平地」で、ここから先は森林限界となります。
爽やかな風抜ける稜線ですが、ここまでの夏の暑さでけっこう消耗しました。飲料水は1.8L持って登りましたが半分消費。キンキンに冷えた茂倉岳避難小屋の水場が待ち遠しい。
暑い日でしたが山飯の定番はこれでしょう、熱々カップ麺ランチ By HEXAR。 もちろん旨いのですが次は「山で美味しい冷やし中華」が食えるプロダクトを開発しようと思いました。
「矢場の頭」から先は視界は大きく開けます。正面左は翌日縦走する「大障子ノ頭」中央に「万太郎山」
少し進み湯沢方面を振り返る、植生の変わるさまが良くわかります。
上:エチゴキジムシロ 下:ハクサンチドリ 森林限界を超えると夏定番のお花たちが見られるようになります。
山頂直下に小屋が見えてきました、危険箇所はありませんが地味~にキツい登りが続きますよ。
翌日の主脈縦走ではそこかしこに咲いてましたが、茂倉岳北面の路傍では唯一見かけたハクサンイチゲ、この花を見ると高山に来た感あります(2000m以下ですが)
向かいの万太郎に近い高度となったころ、茂倉岳避難小屋に到着です。
連峰縦走の頼もしい拠点「茂倉岳避難小屋」
最高に美味い水場、昨年11月までの大規模改修で棟続きとなったトイレ、より快適になった茂倉岳避難小屋。一ノ倉と武能岳、蓬ヒュッテに繋がる連峰縦走の要所にありますが、群馬側の小屋のような混雑はありません、常駐管理人のいない無人小屋なので予約も不要です。
小屋から30mほどの場所に水場があります。
この水の旨いことといったら、、、この場で600mlは一気飲み、あー生き返る。
日曜午後、先客は3名と快適に過ごせる人数。前日は足の踏み場が無いほど密集してたらしい (*_*;
大規模改修で小屋内部の柱と天井の梁は大幅に強化されました。床は張り替えられ、壁の作り付けの棚はとても気の利いた工夫です。
何と言っても改修の目玉は「棟続きとなったトイレ」でしょうか。悪天候や寒い日でも躊躇なく用足しに行けるようになりました。
小屋でのくつろぎの時間
避難小屋は2重の扉で外気や虫の侵入無く、室温は20℃程と快適です。夕方はあいにくの濃霧で魅力のサンセットは記録できませんでしたが、小屋泊の楽しみと言えば、居合わせた登山者さんとの情報交換、そして晩飯でしょうか。
山飯から就寝までの寛ぎの時間を照らすのはHEXAR UL3&UL4。底部の強力なマグネットは山でも意外と役立ちます。広範囲を照らすので調理や片付けもはかどりますよ。
電球色の灯は尾西の五目飯に焼き鳥缶トッピングもより旨そうに。
63gと超小型軽量のUL3ですが電球色モード40-50lm程の明るさで18時~21時まで、6lmの電球色最小光束で21-4時まで夜通し使っても、4つあるバッテリー残量表示は一つも減りませんでした。一泊の小屋・テント泊であればバッテリー容量を気にすることなく使えます。
静かな山行き、絶景独り占めの茂倉岳ですが「秋の美しさ」も特筆すべきものがあります。ぜひご一読ください。
このレポートは Supported by HEXAR 公式アカウントでは山旅風景の美しさ・楽しさを配信しています。
小屋泊でゆっくり探訪、夏の谷川連峰縦走2日目「茂倉岳・一ノ倉岳・谷川岳・万太郎山」に続く