平尾山(ひらおやま)は、長野県佐久市にある山で”信州百山”のひとつです。山頂には富士浅間神社があり、低山でありながら佐久平から浅間山・北アルプス・八ヶ岳まで一望できる絶景スポットです。
登山口は、上信越自動車道の佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」にありアクセスが容易なうえ、登山道はよく整備され初心者の方でもハイキング感覚で登頂可能です。高速道路のSAとスキー場、そして温泉施設が隣接しており、登山口周辺には登山後の楽しみも多くあるのが特徴でもあります。
この記事では、平尾山の基本情報や魅力、登山コースごとの特徴などを紹介しています。平尾山登山を計画している方や、興味がある方はぜひ参考にしてみて下さい。
平尾山の基本情報と魅力
平尾山の標高は、1,156mと決して高くはなく、むしろ市街地の標高が700mほどの佐久市からすれば里山と言うような高さです。登山口の標高は、900mほどで約1時間で登頂できる割には、信州の雄大な景色を眺めることができるので、サクッと登山をしたい時や初心者の方のデビューにもおすすめです。
平尾山の歴史は古く、中世・戦国時代にこの地をおさめていた平尾氏が築城しました。また、有形文化財の平尾大社、山頂の富士浅間神社もこの時代にできたとされています。
平尾山は1年中登ることが可能ですが、冬には積雪がありますので注意が必要です。初心者の方にもおすすめの時期は、春から夏にかけて山野草のお花と遠くに北アルプスの残雪が楽しめます。
山の名前 | 平尾山(ひらおやま) |
---|---|
標高 | 1,156m |
エリア | 甲信越 |
詳細情報 | 平尾山の地図・天気 |
魅力その①浅間山から八ヶ岳まで見渡せる大展望
平尾山登山の最も大きな魅力は、その展望の良さにあります。
山頂から見下ろすと、佐久平の市街地から南に行くにつれ狭まり谷地形になっていく佐久甲州街道の町並みや小諸・上田方面、そして浅間山のふもと軽井沢まで広い範囲を見渡すことができます。
町並みだけではなく、視線を上げれば目の前にそびえる浅間山、大きく広い裾野で構える八ヶ岳の存在感は圧巻です。また、西側の佐久・小諸・上田と流れる向こうには、日本を代表する北アルプスの山々が連なっています。
北~西~南方向に代表的な山が集まり配置されている平尾山の展望は、一見の価値があります。高速道路からのアクセスもいいので、北アルプスや八ヶ岳登山の前日に寄ってこれから行く山を眺めてみてはいかがでしょうか。
魅力その②森林セラピーとして整備された登山道
平尾山の登山道は、その全体が平尾山公園・ハイウェイオアシス「パラダ」内にあります。そのため、登山道は非常によく整備されており、とても歩きやすい道になっています。
中でも「ファーブルの小径」と「水辺の小径」は、森林セラピーロードとして整備されており、ウッドチップで舗装された足にやさしい道になっています。また、公園内5カ所に四阿が設置されており、休憩ポイントとして最適です。
山頂には、環境に配慮したバイオトイレに雨水の手洗いが設置されており、快適に登山をすることができます。
魅力その③アクセス抜群!充実の周辺施設
上信越道の佐久平SAが併設されているので、周辺施設がとても充実しています。
佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」は、日本で唯一の高速道路を降りずに滑れるゲレンデとして有名ですが、夏にはグリーンシーズンとして営業しています。キッズランドやゲレンデを活用したすべり台、アスレチックにカブトムシドームなど、こどもたちが楽しめる施設が充実しており、家族で訪れても良いでしょう。
また、登山の後には併設されている「みはらしの湯」で疲れを癒してはいかがでしょうか。大浴場に露天風呂、サウナなどこちらも充実の施設です。そして何と言っても見晴らしが抜群で、平尾山の山頂からの絶景を思い出しながらゆっくりと温泉に入れます。
平尾山の難易度別おすすめ登山コース
平尾山は全体が平尾山公園になっており、いくつもの「~~の小径」という名のトレッキングコースがあります。平尾山登山では、これらの小径を自由に組み合わせて登っていくことになります。今回は、主要なコースを3つ紹介します。
【低山ながら急登を行く】忍耐の小径ピストンコース
①登山口→5分→②竜神池→10分→③忍耐の小径分岐→40分→④しらかばの小径分岐→10分→⑤山頂→10分→⑥しらかばの小径分岐→30分→⑦忍耐の小径分岐→10分→⑧竜神池→5分→⑨登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 2時間00分 |
距離 | 約2.2km |
累積標高 | 約280m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
平尾山の登山口は、平尾公園・佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」の中にあります。第二PAの下の大きな駐車場脇から林道を登っていき二股を左へ行くと、サマーリフトの終着点横にある駐車場に着きます。こちらは、無舗装の路肩駐車スペースのような駐車場で、5~10台ほどが駐車可能です。
また、二股を右に進みゲレンデをくぐった先には、無舗装の大きな20~30台ほどが駐車可能なスペースがあります。どちらの駐車場を利用しても、平尾山へ登山可能です。
高速道路内の第2SAやセンターハウス横の150台駐車可能な駐車場に停めても、サマーリフトやゲレンデ、小径を歩いて登山口まで登ることも可能です。
人工池の竜神池脇を過ぎ、忍耐の小径へと行くと本格的に登山のスタートです。全体に公園内ということもあり、木製の階段や案内板などが随所にありよく整備が行き届いています。
忍耐の小径コースは、平尾山の南西側の尾根を登っていきます。意外にも急登が多く、階段などで整備はされていて歩きやすいものの、その名の通り忍耐は必要です。しかし、途中には立派な休憩所もあるので、ゆっくり休みながら登るといいでしょう。
山頂手前、最後の忍耐の急登を登りきると待ちわびていた絶景が目の前に広がります。北には東信地区をを代表する浅間山がすぐ近くにそびえ、西に目を向けると遠くに北アルプスが連なっています。そして、眼下に広がる佐久平の街の先には蓼科山から赤岳まで八ヶ岳の全容を見ることができます。
山頂には、建物の中にある富士浅間神社を祀った祠や大きな石碑があります。かつては、平尾城の富士砦として物見台として使われていた場所でもあり、歴史を感じる山頂部になっています。
また、バイオトイレが設置されており、こちらもよく整備されているので清潔感があります。
【森林セラピーロードを行く】幹線ルート周回コース
①登山口→5分→②竜神池→10分→③忍耐の小径分岐→40分→④しらかばの小径分岐→10分→⑤山頂→5分→⑥幹線ルート分岐→15分→⑦水辺の小径分岐→10分→⑧竜神池→5分→⑨登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 1時間40分 |
距離 | 約2.3km |
累積標高 | 約270m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
山頂からわずかに稜線を進み、北と南西に伸びる大きな尾根の間の沢地形を行く、最も距離と時間が短いコースです。「平尾富士幹線ルート」から「水辺の小径」を経由して竜神池に戻ります。
水辺の小径は、森林セラピーロードとして認定されており、ウッドチップを敷き詰められておりとても歩きやすく、森と沢の豊かな自然のなか心癒される道になっています。
この幹線ルートは、それなりに急で段差の大きな階段があります。距離は短いですが、他のルートが時間がかかるわけでもないので、まずは忍耐の小径か郷愁の小径を選ぶ方が無難です。
【平尾山を堪能する】郷愁の小径周回コース
①登山口→5分→②竜神池→10分→③忍耐の小径分岐→40分→④しらかばの小径分岐→10分→⑤山頂→20分→⑥あかまつの小径分岐→15分→⑦水辺の小径分岐→10分→⑧竜神池→5分→⑨登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 1時間55分 |
距離 | 約2.5km |
累積標高 | 約315m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
山頂から北に進み西に延びる稜線に「郷愁の小径」という名がつけられており、この稜線からスキー場トップに下り、ゲレンデ脇を下りてくるルートになります。
途中には、御神体である大岩が祀られています。比較的緩やかで幅の広い登山道で歩きやすくなっています。
あかまつの小径に入っても、忍耐の小径ほどの急傾斜はなくのんびり歩ける登山道になります。そのため、小さなお子さん連れなどの場合には登りもこのルートの方が良いかもしれません。
平尾山のQA
平尾山に関する質問で多いのは、登山ルートや気温・積雪などに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。
平尾山の登山レベルは?初心者でも登れる?
平尾山は初心者の方でも全く問題なく登ることが可能です。ハイキング感覚で登ることができる割に、山頂からは絶景が広がっていますので、初心者の方の登山デビューにもおススメの低山です。
平尾山公園・佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」から登るので、どのコースでも標高差300mほどで1時間前後で登頂できます。「忍耐の小径」はやや急登で段差の大きな階段もありますので、初心者の方や子ども連れの方は、「あかまつの小径」から登るといいでしょう。
平尾山の気温は?どんな服装で行けばいい?
夫神岳のある青木村の月ごとの平均最低気温と最高気温を下記の表にまとめました。冬場は非常に冷え込み、夏は30℃を超えてきます。また、同じ月でも最高と最低が10~15℃ほどの差があり、寒暖差の激しい地域です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高 | 4.4 | 5.7 | 10.2 | 16.8 | 22.2 | 25.1 | 29.1 | 30.1 | 25.1 | 18.9 | 13.4 | 7.4 |
最低 | -7.2 | -6.4 | -2.7 | 2.7 | 8.7 | 14.2 | 18.5 | 19.1 | 14.9 | 8.0 | 0.8 | -4.4 |
夏は非常に暑くなります、熱中症予防をきちんとするようにしましょう。ただし、朝晩は冷え込む場合がありますので一枚羽織れる上着を持っていくといいでしょう。
冬期間はしっかり冷え込みますので、冬の低山用の防寒着に念のためダウンジャケットなどを持っていくと安心です。ただし、積雪は少ない地域ですので、降雪直後でない限り雪装備は滑り止めチェーンで十分です。
平尾山で見られる山の花は?見ごろは?
山の花 | 見ごろ | 山の花 | 見ごろ |
---|---|---|---|
桜 | 4月 | カキドオシ | 4~5月 |
スイセン | 12~4月 | やまぶき | 4~5月 |
タチツボスミレ | 3~5月 | アケボノスミレ | 4~5月 |
菜の花 | 4~5月 | ヒトリシズカ | 5月 |
ラショウモンカズラ | 4~5月 | ガマズミ | 5~6月 |
ワダソウ | 4~5月 | マムシグサ | 初夏から秋 |
平尾山の山頂には、桜が植えられており毎年4月中旬ごろに見ごろを迎えます。竜神池の周辺や登山道沿いには、多くのお花を見ることができます。ゴールデンウィークごろには多くの花々が咲きますので、お花を楽しみたい方にはおすすめの時期です。
登山口へのアクセス・各種情報
平尾山の登山口は、平尾山公園・ハイウェイオアシス「パラダ」内の各所にあります。どこからスタートしても、ゲレンデ内や散策路を歩くと登山道にたどり着きます。主にゲレンデ下とゲレンデ中腹の2か所になりますので、この2か所の登山口を紹介します。
なお、冬季のスキー用シャトルバスをのぞき、公共交通機関でのアクセスは難しいので車でのアクセスがおすすめです。
センターハウス脇駐車場・第2SA
登山口情報
センターハウス横の一般駐車場(上部)は164台、一般駐車場(下部)で100台のとても大きな駐車場があります。また、センターハウスや見晴らしの湯など周辺施設は充実しています。
また、上信越自動車道の佐久平ハイウェイオアシスから直結で第2SAに車を停めてエスカレーターにてアクセスすることも可能です。
スキー場下部からのスタートになりますが、サマーリフトもしくはゲレンデを歩くと中腹駐車場横の登山口に到着します。
登山口までのアクセス
佐久市内から
佐久平駅から車で約15分
佐久平ハイウェイオアシス
佐久平ハイウェイオアシスに駐車し、高速道路を降りずにそのまま登山可能。なお、ハイウェイオアシス「パラダ」は、上下線どちらからでもアクセスできます。
ゲレンデ中腹登山口
登山口情報
ゲレンデの中腹には駐車場が2か所あります。こちらは施設等はなく、平尾山登山者のための駐車場です。
平尾山公園駐車場(下部)の反対側に延びる林道を進んでいくと二股に分かれます。左に進むと、サマーリフト降り場横にある路肩スペースの駐車場に着きます。こちらの駐車場は5~10台ほど停められるスペースがあります。
林道の二股を右に進むと、ゲレンデをくぐってすぐ右側に無舗装の駐車場があります。こちらの駐車場はかなり広く、20~30台ほど駐車可能なスペースになっています。
登山口までのアクセス
佐久市内から
佐久平駅から車で約15分
佐久平ハイウェイオアシスから
佐久平ハイウェイオアシスから、スマートインターを通り林道へ、車で約10分
平尾山周辺のおすすめ山旅スポット
平尾温泉 みはらしの湯
平尾山のふもと、佐久平ハイウェイオアシス「パラダ」に併設されている温泉施設です。泉質は、ナトリウム―塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉で、保湿効果が高く身体の芯まで温まります。
みはらしの湯という名の通り見晴らしは最高で、正面に八ヶ岳を眺める絶好のロケーションです。大浴場の大開口窓から、広い露天風呂から、登山の後に山の景色を見ながら入る温泉は格別です。
ヒラオカフェ
ヒラオカフェは、平尾山のふもと・平尾地区にある古民家カフェです。
平尾山のある佐久市は、カフェの町とも言われるほどカフェやケーキ屋さんが多い地域です。数の多くある佐久市のカフェの中でも、とても高い評判を得ているカフェの1つがこのヒラオカフェになります。
古民家スタイルの落ち着く店内に、昔ながらのオシャレな家具と自然豊かなお庭が印象的なカフェです。メニューは軽食やデザートなどがあり、昔懐かしいナポリタンにドリンクとデザートがついてくるランチセットが一番人気です。
山河喰-SANKAKU-
こちらの山河喰は、佐久市にある猟師が営む創作料理屋です。ジビエや川魚、キノコなどの信州の恵みをいただくことができます。
金・土・日の夜のみの営業にはなりますが、地産地消の四季折々の材料を使ったこだわり抜かれたディナーコースは、非常に満足度が高く評判のお店です。