北アルプス南部に位置する赤牛岳は日本二百名山に選ばれている名峰で、主な縦走ルートからはずれているため静かな登山が楽しめる山です。山頂からの眺めは素晴らしく、北アルプスの山々が一望できます。今回は赤牛岳の2つの難易度別登山コースと、アクセス、駐車場情報を紹介します。
赤牛岳の基本情報と魅力
赤牛岳は標高2864mで北アルプスに位置し、富山県に属しています。赤みを帯びた山肌と牛が寝そべったような山容が特徴的な山で、比較的登山者が少ないため静かな登山が楽しめます。山頂からは大展望が広がっており、薬師岳のカールの雄大さは見ものです。赤牛岳は日本に百名山に選ばれています。
主な登山ルートは黒部ダムから読売新道を通って赤牛岳を目指すルートと、折立から水晶岳を通って赤牛岳を目指すルートです。どちらも日帰りで山頂まで行くことはできないので、2泊3日みておくのがよいでしょう。黒部ダムを拠点とするルートは健脚の人向けです。
折立から出発するコースでは、秋には雲ノ平でナナカマドの素晴らしい紅葉を楽しめます。
山の名前 | 赤牛岳(あかうしだけ) |
標高 | 2864m |
都道府県 | 富山県 |
エリア | 北アルプス |
詳細情報 | 赤牛岳の詳細 |
魅力その①山頂からの眺め
赤牛岳の山頂からは、大展望が楽しめます。北アルプスの山々を一望でき、特に薬師岳の姿が美しく、特徴的なカール地形がはっきりとわかります。
魅力その②北アルプスの奥地のため静かな登山が楽しめる
アプローチが長いことから、赤牛岳を登る登山客は少ない傾向にあります。特に黒部ダムから赤牛岳を目指す「読売新道」は静かな登山を楽しめるでしょう。
魅力その③赤みを帯びた独特の山容
赤牛岳は独特の赤茶色の山肌を持ち、魅力的な眺めを作り出しています。赤い山肌と牛が寝ているような姿をしていることから「赤牛岳」の名で呼ばれるようになりました。
赤牛岳のおすすめ登山コース
【健脚向けの静かなコース】黒部ダム~赤牛岳ピストンコース
1日目
黒部ダム→10分→黒部湖駅→30分→ロッジくろよん→3時間→平ノ小屋→10分→平の渡場→2時間→奥黒部ヒュッテ
2日目
奥黒部ヒュッテ→1時間50分→2/8標識→1時間40分→4/8標識→1時間→6/8標識→1時間30分→赤牛岳→1時間10分→6/8標識→40分→4/8標識→1時間→2/8標識→1時間10分→奥黒部ヒュッテ
3日目
奥黒部ヒュッテ→2時間→平ノ渡場→10分→平ノ小屋→3時間→ロッジくろよん→30分→黒部湖駅→10分→黒部ダム
必要日数 | 2泊3日 |
総コースタイム※ | 21時間40分 |
休憩時間目安 | 5時間40分 |
距離 | 39.1㎞ |
累積標高 | 3627m |
難易度 | ★★★☆☆ |
※総コースタイムは休憩時間を含めない時間。
読売新道を通って赤牛岳を目指すコースです。急な登りが続くので体力が必要なコースですが、登山者が少ないので静かな登山が楽しめます。
黒部ダム
標高1400mの扇沢市営無料駐車場に約300台の駐車スペースがあります。車でアクセスする場合はここに車を停め、関電トンネル電気バスで黒部ダム駅まで行きます。トイレ、登山ポストは扇沢駅にあります。
登山コース紹介
1日目
黒部ダム駅を出発し、ロッジくろよん方面へ向かって歩きます。ダム湖を渡った後は、湖に沿って登山道を進みます。
平ノ小屋まで着いたら、渡し船で湖の対岸に渡ります。料金は無料で、10分ほどで対岸に着きます。便数は1日4、5往復で月によって頻度が変わるので、あらかじめ時刻を問い合わせておくとよいでしょう。
対岸に着いたら、奥黒部ヒュッテに向かって進みます。途中ハシゴ場が出てくるので注意して歩きます。
2時間ほどで奥黒部ヒュッテに着きます。この日の宿泊地です。
奥黒部ヒュッテは、1泊2食付きで1万2000円、素泊まりは8700円、テント場はひとり1500円です。テント泊の場合、食事はつきません。小屋に泊まる場合は事前予約が必要です。テント泊の場合は予約不要です。
2日目
奥黒部ヒュッテを出発し、樹林帯の中を登ります。この登山道は読売新道と言い、登山客は少ないので静かな登りが楽しめるでしょう。ただし急勾配が続くので、体力を使います。
赤牛岳山頂近くにはロープ場が出てくるので、注意して進みます。
赤牛岳山頂からは大展望が広がっており、北アルプスの山々が一望できます。特に薬師岳の姿が美しく、独特なカール地形もはっきりと見えます。
山頂から、往路を通って奥黒部ヒュッテまで下ります。奥黒部ヒュッテに宿泊します。
3日目
奥黒部ヒュッテを出発し、往路を通って黒部ダムまで下ります。
【”天上の庭”雲ノ平を経て赤牛岳へ】折立~赤牛岳~黒部湖縦走コース
1日目
折立→1時間30分→三角点→1時間30分→五光岩ベンチ→50分→太郎兵衛平→2時間20分→薬師沢小屋→2時間20分→アラスカ庭園→40分→アルプス庭園→15分→雲ノ平山荘
2日目
雲ノ平山荘→20分→雲ノ平キャンプ場分岐→30分→祖父庭園→40分→祖父岳→30分→岩苔乗越→5分→ワリモ北分岐→50分→水晶小屋→50分→水晶岳(南峰)→50分→温泉沢ノ頭→2時間→赤牛岳→1時間10分→6/8標識→40分→4/8標識→1時間→2/8標識→1時間10分→奥黒部ヒュッテ
3日目
奥黒部ヒュッテ→2時間→平ノ渡場→10分→平ノ小屋→3時間→ロッジくろよん→30分→黒部湖駅→10分→黒部ダム
必要日数 | 2泊3日 |
総コースタイム※ | 25時間50分 |
休憩時間目安 | 6時間20分 |
距離 | 44.0㎞ |
累積標高 | 3656m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
※総コースタイムは休憩時間を含めない時間。
水晶岳を経由して赤牛岳を目指すコースで、読売新道を通るコースより難易度は低いです。途中の雲ノ平では美しい風景を見ることができます。
折立登山口
標高1350mの折立キャンプ場駐車場に約300台の駐車スペースがあります。料金は無料。トイレと自動販売機があります。登山口に登山ポストがあります。
登山コース紹介
1日目
登山口を出発すると急登が続きます。道はやがて木道に変わります。
途中に三角点が出てきます。展望がよく、ベンチがたくさん設置されているので休憩によい場所です。
開けた登山道を歩いていくと、やがて宿泊地の太郎平小屋に到着です。
木道を歩いていくと薬師沢小屋に着きます。
アラスカ庭園、アルプス庭園と景色の美しい場所が続き、この日の宿泊地の雲ノ平山荘に到着です。
雲ノ平山荘は1泊2食付きで大人12000円、30歳以下10400円、18歳以下10000円、小学生以下8000円。完全予約制で、定員50名です。営業期間は7月10日から10月15日まで。
2日目
雲ノ平山荘を出て、祖父岳方面へ向かいます。岩で足を滑らせないよう、注意して進みます。
祖父岳山頂からは素晴らしい眺めが広がっています。
岩苔乗越を経て、ワリモ北分岐を水晶岳方面に向かいます。途中、高山植物をたくさん見ることができます。
水晶小屋を過ぎて、水晶岳方面に向かいます。
50分ほどで水晶岳山頂に到着します。山頂からは素晴らしい展望が開けています。
稜線を3時間ほど歩くと赤牛岳山頂です。薬師岳の姿が美しく見えます。
赤牛岳山頂からは「黒部ダム~赤牛岳ピストンコース」の道を通って奥黒部ヒュッテまで下ります。
奥黒部ヒュッテがこの日の宿泊地です。
3日目
「黒部ダム~赤牛岳ピストンコース」の道を通って、黒部ダムまで下ります。
赤牛岳のQ&A
読売新道とは何?
読売新道は奥黒部ヒュッテから赤牛岳山頂に至る登山道で、昭和35年に読売新聞社が行った立山大集会を機会に記念事業として開設された道です。企業名の入った登山道は全国でも珍しいものです。
赤牛岳の登山シーズンは?
赤牛岳の夏山登山のシーズンは7月から10月です。高山植物の見頃は7、8月で、紅葉は10月が見頃です。
赤牛岳の天気、気温は?
赤牛岳山頂付近の7月から10月の平均気温は表のとおりです。夏は午後から天気が崩れやすく、雷や夕立が発生することが増えます。なるべく午前中に行動時間を多くとるような行動計画を立てるとよいでしょう。山頂付近は夏でも気温が下がります。防寒具を忘れずに持っていきましょう。
月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
最高気温(℃) | 23.1 | 21.6 | 17.5 | 16.4 |
最低気温(℃) | 9.1 | 0.4 | 1.9 | -5.0 |
登山口へのアクセス・各種情報
黒部ダム
登山口情報
扇沢市営無料駐車場に約300台の駐車スペースがあります。車でアクセスする場合はここに車を停め、関電トンネル電気バスで黒部ダム駅まで行きます。トイレ、登山ポストは扇沢駅にあります。
登山口までのアクセス
バス:JR信濃大町駅からアルピコ交通バスで扇沢バス停下車。そこから関電トンネル電気バスで黒部ダム駅下車。
車:上信越道長野ICから40㎞で扇沢駅駐車場へ。
折立
登山口情報
折立キャンプ場駐車場に約300台の駐車スペースがあります。料金は無料。トイレと自動販売機があります。登山口に登山ポストがあります。
登山口までのアクセス
バス:JR富山駅から富山地方電鉄バスで折立バス停下車。
車:北陸道立山ICから38㎞で折立キャンプ場駐車場へ。
赤牛岳周辺のおすすめ山旅スポット
きときと市場とやマルシェ
富山駅構内のある施設で、地元の特産物やお酒、おみやげ物の購入に便利です。食堂もあり、ます寿司、ホタルイカ、白エビなど。富山名物白エビ天丼が人気です。
営業時間は、物販が9:00~20:30、飲食店が10:00~21:30。年中無休。駐車場あり。
富山城
佐々成政や富山藩主前田家の城です。滝廉太郎作曲の「荒城の月」のアイデアの元になった城でもあります。富山城城跡公園内にあり、城自体は戦後再建されたものです。
場内は郷土博物館になっています。富山城の歴史がわかる展示物があり。天守閣からは富山市内が一望できます。
開館時間は9:00~17:00。休館日は年末年始。入館料は大人210円、高校生以下は無料。城址公園地下に有料駐車場あり。
池田屋安兵衛商店
薬売りで有名な富山にある、老舗の薬屋です。江戸時代からの歴史を持つ「反魂丹」が人気です。丸薬製造体験も実施しています。2階にはレストランがあり、薬膳料理を楽しめます。営業時間は9:00~18:00。無休。
北前船廻船問屋森家
北前船廻船問屋で、国の重要文化財に指定されています。開館時間は9:00~17:00。料金は大人100円、高校生以下は無料。年末年始は休館です。駐車場あり。