富山県と長野県にまたがる針ノ木岳は、二百名山と新・花の百名山に選ばれている人気の山です。高山植物の美しさに加え、大雪渓の雄大さ、山頂からの展望も大きな魅力です。また、秋には紅葉も楽しめます。針ノ木岳は日帰り登山もできるので、北アルプス初心者にも挑戦しやすい山です。今回は針ノ木岳の2つの難易度別登山ルートとアクセス、駐車場情報を紹介します。
針ノ木岳の基本情報と魅力
針ノ木岳は標高2821mで北アルプス北部に位置し、富山県、長野県にまたがっています。
針ノ木岳は二百名山のひとつであると同時に、高山植物が豊富なことから新・花の百名山にも選ばれています。道中、チングルマ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイなどの花々を目にすることができます。また、針ノ木雪渓は日本三大雪渓のひとつで、その迫力は多くの登山者を惹きつけています。山頂からの眺めも素晴らしく、薬師岳、槍ヶ岳や後立山連峰などの山々を一望できます。秋には美しい紅葉を楽しめます。
針ノ木峠も有名で、戦国時代に佐々成政が針ノ木峠を厳冬期に越えて徳川家康に会いに行ったという話が残っています。
山の名前 | 針ノ木岳(はりのきだけ) |
標高 | 2821m |
都道府県 | 富山県、長野県 |
エリア | 北アルプス |
詳細情報 | 針ノ木岳の詳細 |
魅力その①山頂からの展望
針ノ木岳の山頂からは大展望が広がっています。薬師岳や槍ヶ岳、後立山連峰などの山々が一望できます。
魅力その②大雪渓
針ノ木雪渓は日本三大雪渓のひとつで、その雄大さから多くの登山者の人気を集めています。扇沢から針ノ木岳山頂をめざすピストンコースの途中に出現します。
魅力その③豊富な高山植物
針ノ木岳は新・花の百名山に選ばれているとおり、高山植物の美しさが魅力の山です。道中、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、チングルマなどの花々が登山者の目を楽しませてくれます。また、針ノ木岳から種池山荘に向かう周回コースでは、種池山荘周辺でもたくさんの高山植物を見ることができるでしょう。
魅力その④紅葉の美しさ
紅葉を楽しみたい人は扇沢から針ノ木岳、赤沢岳、種池山荘を通る周回コースを選ぶと、モミジ坂の美しい紅葉を堪能することができます。紅葉の見頃は9月下旬から10月上旬です。
針ノ木岳のおすすめ登山コース
【雄大な針ノ木雪渓を歩く】扇沢~針ノ木岳ピストンコース
扇沢→1時間30分→大沢小屋→3時間30分→針ノ木小屋→1時間→針ノ木岳→40分→針ノ木小屋→2時間→大沢小屋→1時間10分→扇沢
必要日数 | 日帰り |
総コースタイム※ | 9時間50分 |
休憩時間目安 | 2時間20分 |
距離 | 11.9㎞ |
累積標高 | 1537m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
※総コースタイムは休憩時間を含めない時間。
日本三大雪渓のひとつ、針ノ木雪渓を通って針ノ木岳山頂を目指すコースです。日帰りできるので、初心者におすすめです。雪渓歩きに慣れていない人はアイゼンを持って行きましょう。大沢小屋でレンタルもできます。
扇沢
標高1400mの扇沢市営無料駐車場に約300台の駐車スペースがあります。登山ポスト、トイレ、自動販売機も備えられています。駐車場から登山口までは徒歩10分ほどです。
登山コース紹介
北扇沢を出発し、1時間30分で大沢小屋に着きます。
針ノ木雪渓を登るためには、時期によってはアイゼンが必要になる場合があります。大沢小屋ではアイゼンをレンタルすることができます。
日本三大雪渓に数えられる雄大な針ノ木雪渓を登っていきます。すべらないように確実に足を運びます。雪渓に赤い色で目印がついているので、それをたどっていけば迷うことはありません。
雪渓を登り終えると、やがて針ノ木小屋のある針ノ木峠です。
針ノ木峠から1時間ほど歩くと針ノ木岳山頂です。山頂は広く、大展望が広がっています。薬師岳、槍ヶ岳、後立山連峰などのアルプスの山々が一望できます。
山頂を出て、往路と同じ道を通って扇沢まで下ります。
【大雪渓とお花畑を楽しむ】扇沢~針ノ木岳~赤沢岳~鳴沢岳~扇沢周回コース
1日目
扇沢→1時間30分→大沢小屋→3時間30分→針ノ木小屋→1時間→蓮華岳→40分→針ノ木小屋
2日目
針ノ木小屋→1時間→針ノ木岳→1時間→スバリ岳→1時間30分→赤沢岳→1時間30分→新越山荘→1時間→岩小屋沢岳→1時間20分→種池山荘
3日目
種池山荘→2時間30分→柏原新道登山口→15分→扇沢
必要日数 | 2泊3日 |
総コースタイム※ | 16時間45分 |
休憩時間目安 | 4時間10分 |
距離 | 22.8㎞ |
累積標高 | 2578m |
難易度 | ★★★☆☆ |
※総コースタイムは休憩時間を含めない時間。
針ノ木岳、赤沢岳、鳴沢岳を経て柏原新道を下る周回コースです。種池山荘周辺ではお花畑が、モミジ坂では美しい紅葉が見られます。
扇沢
標高1400mの扇沢市営無料駐車場に約300台の駐車スペースがあります。登山ポスト、トイレ、自動販売機も備えられています。駐車場から登山口までは徒歩10分ほどです。
登山コース紹介
1日目
「扇沢~針ノ木岳ピストンコース」と同じ道を通って針ノ木小屋まで登ります。針ノ木小屋がこの日の宿泊地です。
針ノ木小屋の宿泊料はひとり1泊8000円。夕食代が2200円、朝食代が1800円、お弁当を頼む場合は1000円。宿泊には事前予約が必要です。テントサイトはひとり1泊1000円です。
針ノ木小屋に荷物を置いて、軽装で蓮華岳に向かいましょう。1時間ほどで蓮華岳山頂です。蓮華岳山頂からの展望も見事なものです。
蓮華岳山頂を出て、針ノ木小屋に戻ります。
2日目
針ノ木小屋を出て、針ノ木岳山頂に向かいます。
山頂からの素晴らしい展望を堪能したら、スバリ岳方面に下ります。ガレ場なので滑らないように確実に足を進めましょう。
稜線を進み、赤沢岳をめざします。岩場を登ると赤沢岳山頂です。山頂は広く、展望も申し分ありません。
鳴沢岳を越えると新越乗越です。
さらに稜線を歩き、岩小屋沢岳から1時間20分で種池山荘です。この辺りは高山植物が咲き乱れるお花畑です。
種池山荘がこの日の宿泊地です。種池山荘の料金は大人1泊2食付きで1万4000円、素泊まりは1泊1万円。宿泊には事前予約が必要で、電話かウェブサイトからの予約を受け付けています。
3日目
種池山荘を出発し、柏原新道を扇沢に向けて下ります。
急斜面をひたすら下ります。やがて樹林帯に入ります。モミジ坂は秋には紅葉が見事です。
モミジ坂を過ぎると柏原新道登山口です。扇沢までは15分ほどで着きます。
針ノ木岳のQ&A
針ノ木岳の名前の由来は?
針ノ木峠にちなんで「針ノ木岳」と名づけられました。針の木とは周辺で見られるミヤマハンノキのことです。
針ノ木岳の登山シーズンは?
針ノ木岳の夏山登山のシーズンは7月から10月です。高山植物を見るには7月、8月が、紅葉を楽しむには9月下旬から10月上旬が見頃の季節です。
針ノ木岳の天気・気温は?
7月から10月の針ノ木岳山頂付近の平均気温は表のとおりです。夏は午後から天気が崩れやすく、夕立や雷が発生することが増えます。なるべく午前中に行動時間を多く取るような行動計画を立てるとよいでしょう。雨具を忘れずに。山頂付近は夏でも気温が下がるので、防寒具も必須です。
月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
最高気温(℃) | 24.3 | 23.4 | 19.0 | 18.8 |
最低気温(℃) | 9.6 | 2.3 | 3.5 | -4.0 |
登山口へのアクセス・各種情報
扇沢
登山口情報
扇沢市営無料駐車場に約300台の駐車スペースがあります。登山ポスト、トイレ、自動販売機も備えられています。駐車場から登山口までは徒歩10分ほどです。
登山口までのアクセス
バス:JR信濃大町駅からアルピコ交通バスで扇沢バス停下車。
車:長野道安曇野ICから39㎞で扇沢市営無料駐車場へ。
針ノ木岳周辺のおすすめ山旅スポット
湯けむり屋敷 薬師の湯
大町温泉郷にある日帰り温泉施設です。露天風呂があり、下山後に汗を流すことができます。露天風呂の他、18種類の風呂を楽しめます。温泉博物館もあり、温泉の歴史などについて様々な資料が展示されています。食堂も併設されています。営業時間は、夏季は7:00~21:00。冬季は10:00~21:00。年中無休。入館料は大人750円、小学生300円、3歳以上の未就学児100円。
黒部ビューホテル
庭園作りに大きな岩を配置した露天風呂「庭園露天風呂」があります。美しい景色を楽しみながらゆっくりと登山の疲れを癒してはいかがでしょうか。泉質は弱アルカリ低張性高温泉。料金は大人600円、小学生以下300円。日帰り入浴時間は12:00~19:00。
いーずら大町特産館
信州そば、野沢菜漬け、地酒など、地元の特産物がそろっており、お土産を選ぶのにもってこいのお店です。「いーずら」とは大町地方の言葉で「よいでしょう」という意味です。2階はギャラリースペースになっています。営業時間は9:30~17:00。定休日は水曜日。