登山で重い荷物を持って歩くのは大変ですよね。荷物が重いと疲れやすくなり、歩くのが想定以上に時間がかかってしまいます。一方、荷物を軽くすると、軽やかに山を歩けるようになるでしょう。そこで、今回は、登山装備を軽くするコツや軽量化アイテムをご紹介します。荷物を軽くして、快適な山登りを楽しみましょう。
登山装備を軽量化する5つのステップ
登山装備を軽量化するといっても、適当に省いて荷物を少なくすると、使いたくなったときに困ってしまいます。そこで、そのような失敗をしないために、軽量化する手順を5つにまとめました。
【軽量化する5つのステップ】
1.装備を並べる
2.装備を分ける
3.装備を選ぶ
4.装備重量を量る
5.装備を変える
はじめに、いつも持ち歩いている登山装備を並べてみましょう。次に、よく使っているものと、使っていないものを分けます。ただし、ヘッドランプやファーストエイドなどの安全上重要な装備は必要です。そのような必須装備を除いて、もし使用していないものがあれば削る対象になります。
装備を見直したら、装備の重量をそれぞれ測ってみましょう。すると、どの装備がとくに重いのか把握できます。最後に、重い装備を軽いものに変えます。この手順を踏むことで、安全性を損なうことなく軽量化を図れるでしょう。
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登山装備軽量化のコツ
「不要な物は削って、これ以上削れるものはない!」と思っている人でも、まだ軽量化できるかもしれません。以下では、具体的な軽量化のコツを3つご紹介します。
兼用できる装備を考える
一つ目のコツは、「装備の兼用」です。ひとつのアイテムでいくつか役割を持たせることができれば、荷物をさらに減らせるでしょう。
たとえば、レインウェアは雨具と防寒着の両方で使えます。レインウェアは防水性と防風性に優れているので、防寒着一枚で足りるような環境の山であれば兼用するのも手です。また、テント泊の際にはヘッドライトをランタンの代わりに使用するやり方もあります。このように装備を工夫して兼用することで、荷物をさらに軽くできるでしょう。
小分けにする・まとめる
二つ目のコツは、荷物を小分けにするか、まとめることです。とくに調味料や化粧品など、大きなボトルをそのまま持っていってはいませんか?使う分だけ小分けにすることで、不要な荷物を減らせます。
一方、荷物を細かく分けすぎると、スタッフバックの数が増えてしまいますよね。そのため、大きなスタッフバックにまとめて収納することで重量を減らせます。
「素材」に注目して軽いものに変える
三つ目のコツは、装備を軽い素材のものに変える方法です。たとえば、保温着は化繊からダウンの素材のものに変えてみます。質の高いダウンであれば、綿の封入量が少なくて済み、保温性を保ちながら軽量化できます。
また、クッカーはアルミ製やステンレスよりもチタンの方が軽量化できます。チタンは高い強度をもちながら薄く作れるので、軽くできます。このように、素材に注目して装備を変えると、より軽くできるでしょう。注意点として、素材によって利点や欠点が異なるので、自身の山行に適したものを選ぶとよいでしょう。
登山を快適にする軽量化アイテム5つ
軽量化を突き詰めていくと、最終的には装備そのものの重量の壁に当たります。削れる装備がなくなったら、装備の買い替えも視野に入れるとよいでしょう。以下では、登山を快適にする軽量化アイテムを5つご紹介します。また、似た商品を重量の比較してまとめますので、参考にしてくださいね。
【クッカー】チタンカップ400FD/エバニュー
チタン製、容量400mlのカップ。驚くべきはその軽さで、約50gほどしかありません。容量は、一人分の湯沸かしやスープ料理を作るには十分の大きさです。
ステンレスからチタンに素材を変えた場合の重量の違いを比較してみましょう。例えば、モンベルのステンレスカップ390からチタンカップ400FDに変えると、約21gの軽量化ができます。
商品名 | メーカー | 重さ | 備考 |
---|---|---|---|
チタンカップ400FD | エバニュー | 約50g | 400ml |
ステンレスカップ390 | モンベル | 約71g | 390ml |
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【火器類】チタニュームストーブ/エスビット
軍事用にも使われる、折りたたみの軽量ストーブ。チタン製で、重量は約15gほど。火器のセット(チタニュームストーブ、固形燃料、風防、ライター)の重量は約54gです。
火器類を、ガスバーナーから固形燃料へ変更した場合の重量の違いを比較してみましょう。たとえば、プリムスのガスバーナー(P-153)から変えた場合、約292g軽くできます。
▼固形燃料の火器セット
商品名 | メーカー | 重さ | 備考 |
---|---|---|---|
チタニュームストーブ | エスビット | 約15g | |
固形燃料 | エスビット | 約14g | 1個あたりの重量 |
ライター | Bicジャパン | 約10g | |
風防 | トークス | 約15g | |
計 | 約54g |
▼ガスバーナーの火器セット
商品名 | メーカー | 重さ | 備考 |
---|---|---|---|
ガスバーナー | プリムス | 約116g | P-153 |
ガスカートリッジ | プリムス | 約230g | IP-250G |
計 | 約346g |
【防寒着】プラズマ1000ダウンジャケット/モンベル
最高品質のダウンを使い、最軽量に仕上げたジャケット。ダウンボールにより多くの空気を蓄えることで優れた断熱性を発揮し、軽さと保温性を両立しています。春から秋の登山ではアウターとして活躍し、冬はミドルレイヤーの保温着としても着れる利便性があります。
防寒着の素材を化繊からダウンに変えたときの重量を比較してみましょう。保温性が類似する化繊の商品、「U.L.サーマラップ ジャケット」から変えたとすると、約99g軽量化できます。
商品名 | メーカー | 重さ |
---|---|---|
プラズマ1000ダウンジャケット | モンベル | 130g |
U.L.サーマラップ ジャケット | モンベル | 229g |
【寝袋】シームレスダウンハガー800#3/モンベル
高品質なダウンに撥水加工を施した寝袋。快適温度は4℃で、夏の高山から冬の低山キャンプまで一年を通して使える汎用性があります。また、この寝袋は優れた伸縮性があり、寝返りの際に窮屈感を感じにくいのも魅力です。
寝袋の素材を化繊からダウンに変えたときの重量を比較してみましょう。保温性が類似する化繊の商品、「シームレス バロウバッグ#3」から変えたとすると、約408g軽量化できます。
商品名 | メーカー | 重さ | 備考 |
---|---|---|---|
シームレスダウンハガー800#3 | モンベル | 約555g | スタッフバック込みの重量 |
シームレス バロウバッグ#3 | モンベル | 約963g | スタッフバック込みの重量 |
【ザック】軽いものに変える
登山装備を軽量化したら、ザックにゆとりが生まれるはず。そこで、ザックも容量の小さいものや、さらに軽いものに変えることで、軽量化しましょう。日帰り登山用から小屋泊、テント泊の軽量ザックについて、それぞれおすすめの商品をご紹介します。
【日帰り登山用18L】ハイクライト18/オスプレー
18Lのミニマルなザック。身体とバックパックの間にはメッシュパネルで空間を設けられ、通気性がよく蒸れずらい構造になっています。また、ハイドレーション対応で、行動しながらの給水も可能です。
ザックの容量を小さいものに変えたときの重量を比較してみましょう。たとえば、同じモデルの26Lから変えると、約60g軽量化できます。
商品名 | メーカー | 重さ |
---|---|---|
ハイクライト18 | オスプレー | 680g |
ハイクライト26 | オスプレー | 740g |
【小屋泊用30L】ウェルキン30/ミレー
シンプルなデザインの30L用のザック。背面は肉抜きされたパネルと、粗い目のメッシュ素材のため、軽量かつ通気性がよいのが特徴です。重量は約880g。
ザックの容量の近い他のザックと重量を比較してみましょう。ミレーの定番モデル、サースフェーNX30+5は約1500gです。もし、ザックをウェスキン30に変えた場合、約620g軽量化できます。
商品名 | メーカー | 重さ | 備考 |
---|---|---|---|
ウェルキン30 | ミレー | 880g | |
サースフェーNX30+5 | ミレー | 1500g | 容量30~35L |
【テント泊用45~57L】グラビティ エクスペディション 45+/ドイター
無駄をそぎ落とした軽量なアルパインバックパック。大容量かつ軽量化を追求した名品で、重量は約950gです。また、トップリッドや内蔵フレームは取り外しができるため、さらに約150gの減量が可能です。容量は45~57Lで拡張することができる仕様で、小屋泊やテント泊など幅広く使えます。
ザックの容量の近いものと重量を比較してみましょう。たとえば、モンベルのアルパインパック50は約1930gです。グラビティ エクスペディション 45+に変えると、約980g軽量化できます。
商品名 | メーカー | 重さ | 備考 |
---|---|---|---|
グラビティ エクスペディション 45+ | ドイター | 約950g | 45~57L |
アルパインパック50 | モンベル | 約1930g | 50L |
装備を軽量化して軽やかに登山を楽しもう
登山装備を軽量化するコツやおすすめ軽量アイテムをご紹介しました。使わないものを省いたり、装備の兼用を考えることで荷物を減らせます。さらに、装備を軽いものに買い替えることでより軽量化を図れます。一方、装備を変えることで、いざ使いたいときに無くて困ったり、用途が合わなかったりといったトラブルが起こるかもしれません。そのため、よく考えて装備を選定するのが大事です。装備を軽量化して、軽やかな足取りで山登りを楽しみましょう。