カテゴリーから探す

山のモノ Wear / Gears

山のコト Experiences

自然豊かな南アルプス登山 東岳(悪沢岳)の難易度別ルート紹介

自然豊かな南アルプス登山 東岳(悪沢岳)の難易度別ルート紹介

東岳は南アルプス南部の名峰で、登山口へのアプローチが悪いことから登山者からは悪沢岳と呼ばれています。

前岳、中岳とあわせて荒川三山とされ、いずれも3000mクラスの山です。日本百名山ひとつで、日本6位の高さを誇ります。登山口へのアプローチが悪いため自然が多く、中級~上級者向けで2泊3日や3泊4日のコースが定番です。登山口の椹島ロッジから千枚岳を経由するルートが最短ですが、ピストンの往復で16時間50分かかるため、日帰り登山はほぼ不可能といえます。時間がない方も、途中の千枚小屋に宿泊して1泊2日でスケジュールをたてるとよいでしょう。

東岳(悪沢岳)の基本情報と魅力

東岳の登山適期は7月上旬~10月上旬で、3141mの高さがあります。

山頂からは南アルプスの山々が一望でき、周辺には荒川小屋や中岳避難小屋、千枚小屋の3つの小屋があり、夏季は管理人が入って営業しています。特に荒川小屋周辺の花畑は多彩な花が咲き誇る花畑で、絶景です。

混雑もないため、富士山を眺めながらのんびり歩けます。

山の名前東岳(ひがしだけ)/悪沢岳(わるさわだけ)
標高3,141m
エリア南アルプス
詳細情報東岳/悪沢岳の地図・天気

多彩な花々が咲き誇る美しい花畑

荒川三山が連なる南アルプスでは、10種類以上の多彩な高山植物を見られます。特に荒川小屋周辺に広がる花畑は南アルプス最大の広さを誇り、シナノキンバイやハクサンイチゲ、ミヤマシオガマ、チョウノスケソウなど、色とりどりの植物を楽しめるでしょう。

山頂からみられる360度の大パノラマ

悪沢岳は周辺にも3000m級の山々が並んでおり、山頂から北側には鳳凰三山、間の岳、農鳥岳、南側には赤石岳と聖岳、南東方向を見ると雲上に浮かぶ富士山がみられます。360度雄大な山々が並ぶ姿は大迫力であり、普段の日常から離れた別世界を感じられるでしょう。

赤く発色する岩盤

悪沢岳の山頂周辺にはラジオリヤチャート岩盤が多く分布しています。雨に濡れるとさらに赤色が美しく発色することから、「赤石」の名前の由来となりました。

山頂への道中にみられるため、水で濡らして発色を確認してみてください。

荒川三山縦走 2泊3日でのんびり周回コース 

悪沢岳のほかに赤石岳や千枚岳など荒川三山をめぐるのんびりコースです。高山植物が咲き乱れる花畑や、雄大な山々をゆっくりと楽しめます。

コース・所要時間(目安)

【1日目】椹島ロッジ(150分)→小石下(80分)→清水平(60分)→見晴台(70分)→駒鳥池(45分)→千枚小屋

【2日目】千枚小屋(55分)→千枚岳(60分)→丸山(40分)→悪沢岳(80分)→中岳(75分)→荒川小屋

【3日目】荒川小屋(105分)小赤石岳の肩(65分)→赤石岳(70分)→砲台型休憩所(85分)→赤石小屋(225分)→椹島

必要日数2泊3日
総コースタイム17時間52分
休憩時間目安2時間26分
距離26.9km
累積標高3135m
難易度★★★☆☆

コース概要

駐車場からバスで一時間ほど揺られて椹島ロッヂに到着します。椹島ロッヂの脇から林道を歩いて登山口へ向かいます。分岐があるので千枚岳方面に進みましょう。

登山口を過ぎるとすぐに吊り橋が現れ、この吊り橋を渡ると悪沢岳に向けての登山道が始まります。しばらくは、急な登りの樹林帯が続きます。

足元には、緑の苔に美しく覆われた切り株が見られるでしょう。見晴台や駒鳥池で休憩をしつつ、樹林帯の緑の景色の中を進んでいき、千枚小屋に到着です。
1日目は千枚小屋に宿泊となります。

2日目は、まず千枚岳の山頂を目指します。はしごなども整備されていますが、岩場が多いため足元に気を付けて進みましょう。山頂からは、赤石岳など隣接する山々を臨むことができ、雄大な景色を楽しめます。

千枚岳山頂から丸山を経ると、悪沢岳(東岳)山頂です。山頂に近づくにつれ、再び大きな岩の上を歩くような岩場になります。これはラジオリヤチャート岩盤という赤い岩盤で悪沢岳の魅力の一つです。足下の登山道の目印を見落とさないよう気を付けましょう。

天気の良い日は南アルプスの山々はもちろん、槍ヶ岳や、八ヶ岳なども見ることが出来ます。

悪沢岳での景色を楽しんだら、荒川三山最後の頂上である前岳を目指しましょう。悪沢岳頂上から少し下ると、細かいザレた登山道の登り返しです。振り返ると、悪沢岳から続く稜線の迫力ある景色を見られます。

荒川三山の付近には、南アルプス最大級の花畑が広がっており、荒川小屋に向かう途中には雄大なカールも見渡せます。10種類以上の可憐な花々が登山者を楽しませてくれるでしょう。前岳・中岳は徒歩4分ととても近く、山頂の景色と花畑を堪能したところで荒川小屋へ向かい宿泊となります。


3日目は荒川小屋から出発し、見晴らしの良いハイマツに覆われた登山道を進みます。勾配の緩やかな、比較的歩きやすい登山道です。標高3000m付近の空中散歩を楽しみましょう。

山頂手前の石の急登を登りきると、赤石岳山頂へ到着です。晴れた日には富士山を望めるでしょう。

山頂での景色を楽しんだ後、椹島に向かってカール地形を下ります。足元に注意して安全に下山してくださいね。

駐車場について

畑薙夏季臨時駐車場は、畑薙ダムの手前に7月上旬~10月中旬のみ臨時で解放される駐車場です。標高925mに位置し、携帯の電波もつながります。

駐車可能台数は200台と余裕があります。仮設トイレがあり、駐車料金は無料です。

ここから悪沢岳登山口までの送迎バスが出ていますが、以下の山荘のいずれかに宿泊する必要があります。

椹島(さわらじま)ロッヂ、椹島登山小屋、二軒小屋登山小屋 千枚小屋、赤石小屋、荒川小屋、百間洞山の家、熊の平小屋 赤石岳避難小屋、中岳避難小屋、高山裏避難小屋、小河内岳避難小屋

1泊2日で山頂へ 荒川小屋で宿泊コース 

悪沢岳山頂だけなら、1泊2日で登ることも可能です。畑薙第一ダムから赤石岳と悪沢岳山頂の間を巡るコースになります。土日で登りたい方におすすめです。

コース・所要時間(目安)

【1日目】

沼平ゲート(40分)→茶臼岳登山口(7分)→青薙山登山口(1時間13分)→聖岳登山口(3時間42分)→赤石小屋(22分)→富士見平(1時間35分)→赤石岳・赤石避難小屋(18分)→小赤石岳(6分)→小赤石岳の肩(21分)→大聖寺平(20分)→荒川小屋

【2日目】

荒川小屋(51分)→前岳(4分)→荒川中岳(44分)→東岳(悪沢岳)(16分)→丸山(23分)→千枚岳(23分)→千枚小屋(20分)→駒鳥池(3時間36分)→聖岳登山口(54分)→青薙山登山口(9分)→茶臼岳登山口(40分)→沼平ゲート

必要日数1泊2日
総コースタイム19時間4分
休憩時間目安2時間
距離59.5㎞
累積標高4128m
難易度★★★★☆

駐車場を出発した先に沼平ゲートがあり、40分ほど歩いて茶臼岳登山口に向かいます。

聖岳登山口に到着したところで赤いはしごを登り、赤石岳を目指しましょう。序盤は急こう配の樹林帯が続きます。樹林帯をひたすら登り、およそ4時間で赤石小屋に到着です。ここから赤石岳がみえますがまだ距離があります。

その後2時間ほど歩くと分岐の稜線に到着します。目の前に赤石岳、後ろに富士山、反対側に悪沢岳が見えるでしょう。20分ほど歩いたところで赤石岳に着きます。

赤石岳の山頂からは光岳や聖岳、間ノ岳、遠くには穂高連峰も見えます。赤石岳から荒川小屋へ向かい、1日目は終了です。

2日目は荒川小屋から1時間40分ほど歩き悪沢岳の山頂へ到着します。悪沢岳は赤石岳とは景色が変わり、ラジオリヤチャート岩盤の数々が見られます。誰もいない山頂からの景色はまさに絶景です。

絶景を堪能した後は、悪沢岳から丸山と千枚岳を経由して千枚小屋へ向かいましょう。岩場が多いため、足元に注意しながら進みます。

千枚小屋で休憩したら駒鳥池を抜けて聖岳登山口へと下山します。

駐車場について

沼平無料駐車場は、茶臼山登山口への最寄りの駐車場です。駐車場のすぐそばに沼平ゲートがあり、登山ポストも設置されています。

駐車場の標高は950mで、駐車スペースは40台です。駐車料金は無料で、トイレも利用できます。

東岳(悪沢岳)のQA

Q:悪沢岳の登山難易度はどのくらいですか?

悪沢岳は難易度Dで、地図読解力、岩場や雪渓を安定して通過できるバランス能力、ルートファインディングの技術が必要です。体力度は9で、2泊3日以上が適当な山となっています。天候によって難易度は変わりますので、ご自身のレベルにあった登山計画を立てましょう。

Q:椹島ロッジで充電はできますか?

客室内にあるコンセントで充電可能です。充電ケーブルは各自で持参しましょう。

Q:携帯電話はつながりますか?

稜線2500m以上ではNTTドコモがつながりやすいです。

稜線の一部でauとソフトバンクがつながります。

椹島ロッジでは、NTTドコモ・au・ソフトバンクとも通話可能です。

山小屋は、千枚小屋・荒川小屋・赤石岳避難小屋・中岳避難小屋・小河内岳避難小屋でNTTドコモのみ繋がります。

気象状況等により携帯電話が繋がらなくなる場合があり、通信環境は不安定ですので遭難時の対策ツールなどとして過信をしないようにしましょう。

Q:いつまで雪山装備が必要ですか?

残雪は、例年7月中旬まで残るでしょう。

残雪があれば、山開き716に合わせて雪道をスコップ等で山小屋スタッフが切りに行きますので、慎重に歩いてもらえればアイゼンが必要な状況はみられません。

それ以前に歩かれる方はアイゼン、ピッケル等の装備が必要になります。

残雪に注意が必要な場所は、中岳~荒川小屋の一部、荒川小屋~大聖寺平の一部、赤石岳~富士見平にある北沢源頭の区間です。

Q:ヘルメットは必要ですか?

北アルプスで奨励されており、転倒・滑落から頭部を守るために必要です。

Q:高山植物、紅葉の見頃はいつですか?

高山植物は例年7月中旬~8月中旬に見頃を迎えます。

紅葉は山小屋の周辺で9月中旬~下旬、椹島ロッジ周辺で10月下旬~11月上旬に見頃となるでしょう。

登山口へのアクセス・各種情報

椹島登山口から向かう際は、山小屋で宿泊の予約をして送迎バスを利用しましょう。車でのアクセスが便利ですが、バスでのアクセスも可能です。

茶臼山登山口へは車でのアクセスがおすすめですが、駐車場から登山口まで歩いて40分ほどかかります。

椹島登山口

登山口情報

椹島登山口は大井川・畑薙湖奥部の東俣林道の牛首峠を過ぎた先にあります。林道は畑薙第一ダム先の沼平にゲートがあり、11月下旬から4月下旬は冬季閉鎖、それ以外の期間でも一般車両の通行は禁止です。

椹島登山口に駐車スペースはないため、畑薙第一ダムの臨時駐車場に駐車します。

駐車場から1時間ほど東海フォレストの送迎バスに乗車しますが、送迎バスを利用するには東海フォレストが運営する宿泊施設やレストハウス、キャンプ場に宿泊が必要です。東海フォレストの送迎バスの始発は午前8時ですから、椹島ロッジへ前夜泊するとゆとりをもって登山に臨めるでしょう。

登山口へのアクセス

車でのアクセスは、新東名の新静岡インターから畑薙第1ダムへは約2時間かかります。

公共交通機関を利用する場合は、夏季シーズンに限ってJR静岡駅から畑薙第1ダムへ1日1本のジャストライン直行バスが出ています。東京からは毎日アルペンバスが1日1本畑薙第1ダムへ来ており、畑薙第1ダムから東海フォレストの乗り継ぎバスで登山口へ向かいます。

椹島ロッジについて

営業期間:4月下旬~11月上旬まで

料金・素泊まりの山小屋:1泊6500円

  ・ロッジ:1泊2食付き9500円

  ・シャワー入浴:500円(9:00~13:00)

お問い合わせ・予約:0545‐46‐4717

茶臼山登山口

登山口情報

茶臼山登山口へは沼平無料駐車場から向かうと良いですが、徒歩で40分ほどかかります。

登山口にはトイレがないため、沼平無料駐車場で済ませるようにしましょう。登山ポストは沼平ゲートに設置されています。

登山口へのアクセス

車でのアクセスが便利です。東名高速の新静岡インターから2時間6分程度かかります。

悪沢岳周辺の観光スポット

赤石温泉白樺荘

こちらの温泉は市営温泉で、悪沢岳の登山口近くに位置します。泉質は単純硫黄泉で、神経痛や関節痛に効果があり、独自のぬるぬる感が楽しめます。登山で疲れた体を癒しに訪れてみてはいかがでしょうか。

日帰り入浴

4月~11月 午前10:00~午後6:00

12月~3月 午前10:00~午後5:00

日帰り入浴料

中学生以上 ¥510

小学生 ¥200

小学生以下無料

南アルプス自然ふれあいセンター

椹島ロッジに併設されており、登山情報や天気予報を確認できます。

また山岳写真などの自然資料が展示されているほか、登山ハイキングの指導や自然観察教室を実施しています。悪沢岳登山前に、ぜひ足を運んでみてください。

夢のつり橋

出典:夢のつり橋寸又峡温泉

夢のつり橋では、青く美しいダム湖が絶景と人気です。約90mのつり橋からみられる湖面の青色は、透明度の高い水が起こす物理現象によるものといわれています。

悪沢岳の近くの絶景も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

Topics

注目記事

Ranking

週間ランキング

Contents

山旅旅のコンテンツ

カテゴリーから探す

SNS

オンラインショップ

Online Shop Yamatabitabi

山旅旅がセレクトする、軽量で使い勝手がいい、普段使いもできるアウトドア用品を扱うオンラインショップです。