中国地方最高峰で中国地方にある唯一の日本百名山【伯耆大山】(登れる最高峰は弥山の1,709m)は、独立峰で観る方角に寄って全然違う姿を見せてくれるとても美しい山です。
広島からだと車で3時間、日帰り可能なこともあり「今年大山いつ行く?」と、広島に住んでいる私たちにとっては年に一度は登りに行かないと気が済まない身近な存在の大山なのです。
アクセスは米子インターを下りてから約20分で大山駐車場に到着。お手洗いを済ませたら殆どの人は王道コース「夏山登山口」へ向けて折れますが、私たちが向かうのは大神山神社方面へ。
大山ユートピアコース(象ヶ鼻から先は崩落が激しいため通行禁止)
所要時間 往復約6時間(休憩時間入れず)
鳥居をくぐったらまずは懺悔の橋が現れ、もちろん懺悔して(笑)日本一長い石畳の参道を歩き進めた先に延命長寿の御神水があります。水を汲んで長い石段を上がればそこに現れるのは、権現づくりとしては日本最大級の建物、国の重要文化材にも指定されている大神山神社奥宮です。
登山の無事を祈って参拝を済ませたら大神山神社の右に回って登山開始です。
毎回こういうルーティン、パワースポットでエネルギーたっぷりチャージしてから「ユートピアコース」を登る、というのが私たちのお気に入りのメニューになっています。
途中ロープや崩落個所が出てくるので慎重に歩かないといけません。
下山後は駐車場に戻る前にモンベルフレンドマーケットの「大山参道市場」に寄って地ビールを買って飲んだり、ジェラートを食べたり、すぐそばの豪円湯院の温泉につかったり。
時間に余裕があったらちょっと車を走らせて「地頭農園」でブルーベリー狩りをしたり、とお楽しみもたくさん!
そんな大好きな大山に「あえて登らずに大山の絶景を観に」他の山に登って来よう!
という事で、今回は大山は登らずに大山をたっぷり楽しむという何とも贅沢な山登り、
大山の絶景を観に登るならここ!という個人的におススメの山BEST3を紹介します。
【第三位】下蒜山(しもひるぜん)岡山県真庭市 1100m
「蒜山」は以前紹介したハートの池のある「三瓶山」、「伯耆大山」とともに「大山隠岐国立公園」に含まれる、中国地方ではとても人気の高い山です。
下蒜山・中蒜山・上蒜山は「蒜山三座」または「蒜山三山」と呼ばれ、笹原の美しい稜線でつながっているので縦走するのも可能、またそれぞれを単独で登ることも出来ます。
日本二百名山になっているのは最高峰の上蒜山(1202m)だけ、ただしここの山頂には展望がないので大山を観るなら下蒜山は外せません。
もし三座を縦走するなら下蒜山~上蒜山間の「下道の移動問題」が発生するので車2台必要か自転車をデポするかタクシーを呼ぶ必要があります。また休憩入れずに約7時間の山歩きとなり、水場もないのでかなりハードルが高くなります。
今回のミッションは「大山の絶景を観る」ことなので、一番簡単でかつ大山が観える「下蒜山」の往復を紹介します。
下蒜山(しもひるぜん)のおすすめルート
- 所要時間 往復約3時間(休憩時間入れず)
- 登山口 犬挟峠登山口(いぬばさり)
蒜山インターから車で18分で下蒜山犬挟峠登山口駐車場に着きます。
車道挟んで向かいにある火葬場が登山者用に外トイレを開放してくださっています。
犬挟湿原を通っていよいよ登山開始です。
歩きやすいのは最初だけですぐに急登になります。蒜山全体は火山灰性の土で覆われていてとても滑りやすいので転倒に気を付けないといけません。この鎖付きの長階段の所は急で帰りが思いやられます。
三合目からは何度か鎖場が現れ、9月後半と言え蒸し暑いし急なこともあって心折れそう、もう帰ろうかと思っている頃に五合目到着。ここからの稜線歩きをせずに引き返すのはもったいない素晴らしい風景が広がっていました。
笹の海原、ススキの海。さっきまで吹き出ていた汗を乾かしてくれる心地よい風。眼下には蒜山高原の緑のじゅうたんが広がっているのも観えます。どこまでもこの道が続いて欲しい。
七合目からはタイトなつづら折りとちょっとした鎖場の続く急坂、そこを越えたらいよいよ!
下蒜山山頂
下蒜山の山頂に着く直前、山々が美しく連なっている景色が現れました。ゆっくりできるベンチがあるのでそこに座って笹の揺れる音を聞きながらしばらく眺めていました。
下蒜山はアスレチック感覚で登ることも出来るし、美しい稜線歩きもできてとても歩きがいのある、大山の絶景を眺めるのに素敵な山でした。
左から中蒜山、上蒜山、烏ヶ山、中央に大山。8月の晴れた日の写真をお借りしました
【第二位】三平山(みひらやま)岡山県真庭市 1010m
登山口から1時間で山頂、ちょっと滑りやすい所以外は危ない所のない本当に歩きやすい道で、山頂に着くと360度見渡せるパノラマビュー。こんなに良い山がこんな所にあるなんて!と登った人は誰もが言ってしまうと思います。
三平山(みひらやま)のおすすめルート
- 所要時間 往復約2時間(休憩時間入れず)
- 登山口 三平山登山口
蒜山インターから車で10分、駐車場辺りに路肩も含め20台位は止められそうです。
登山口のすぐ左手に和式の水洗トイレがあります。ペーパーはありましたが無くなることもありそうなので一応持参しましょう。
ゆるゆると森の中を歩いて行きます。つづら折りになっているので楽に歩けます。
途中で視界が開けると、右手に蒜山三座が観えます。
「土塁」の標識が出て以降は森林限界になって気持ちのいい稜線歩きになります。ただ、さっきと違って直登になるので見た目よりも傾斜はちょっとだけきつくなります。
ふと右に目をやると、わぁ!大山のお出まし!山頂まで行かなくてももう観えるのですね?
そしてもう既に美しい!これは山頂も期待できます。
もうちょっとだけ稜線歩きを楽しみます。あの空に向かって歩いて行くともうすぐ山頂です。
三平山の山頂に到着しました。
どうでしょう?後ろにドーンと大山とその隣には烏ヶ山!
三平山はぐるりと周回も出来るけどピストンがおススメ、途中まで左手に大山をずっと眺めながら下山できます。歩きやすく森林浴や稜線歩きが一度に楽しめる大山の絶景を眺めるのには素敵すぎる山でした。
中央に大山、右端に烏ヶ山
【第一位】烏ヶ山(からすがせん)鳥取県東伯郡・日野郡 1448m
烏ヶ山は遠くから見ると烏が羽を広げたような姿に見えることからこの名前が付きました。
大山のすぐ近くにそびえ立つ独立峰で通称【山陰のマッターホルン】と呼ばれ、その独特な姿からすぐに烏ヶ山を見つけることができます。
崩落個所や鎖場などあり、上で紹介した山よりもちょっと注意箇所が多い分、アスレチック感がより楽しめます。山頂は狭いですが360度のパノラマビューが楽しめます。
烏ヶ山(からすがせん)のおすすめルート
- 所要時間 周回約4時間(休憩時間入れず。象山にも縦走するとプラス1時間)
- 駐車場 休暇村奥大山(無料、トイレも借りられます)
- 登山口 鏡ヶ成(かがみがなる)登山口→新小屋峠→駐車場(または新小屋峠→象山→駐車場)
入山したのは2022年11月3日、紅葉のピーク時です。
最初は森の中を歩きます。稜線に出ると途端に笹の藪こぎ、高度を上げるにつれすれ違うのも難しい狭い道となります。ふと振り返ると連なる山々と雲海の美しい風景広がっていました。
前が渋滞していると思ったらロープ待ちの列でした。一つ目のロープは足掛かりが滑りやすく腕力であがるしかなかったです。この後から次々現れるアスレチック、楽しい人には楽しいけど怖い人には怖いです、当たり前ですけど。特に切れ落ちている所の左を巻いて歩く箇所は慎重に進みました。(現在は右に巻く安全な道が作られているらしいです)
途中出てくるCMのロケ場所、ここでもちょっと撮影渋滞が出来ます。
私も記念に写真を撮ってもらいました。小道具で某ドリンクを持参するとより楽しいです。
もし買い忘れても休暇村奥大山に自販機があります。
そんなことではしゃぎながら歩き進めるといきなりドーンと目の前に烏ヶ山の山頂と大山のツートップが現れます!
ほえ~~~言葉になりません。これを絶景と言わずしてどうする!烏ヶ山の紅葉のピークはちょっと超えているかもしれないけどこの美しいコントラスト!山頂目指して登っている人の小さい粒が観えます。
ここからは一旦下がってまたちょっと急な所を登り返さないといけません。
パッと見、山頂の姿は石鎚山の天狗岳にも似ていますが見た目ほど怖くないです。
烏ヶ山の山頂に着きました!
山頂標識の後ろにある大岩の裏手に回ると、目の前に大山がドーンと大迫力で現れました。
このスケールの大きいこと、なんて美しいんでしょう。ご飯食べるわけでもなく一時間近く眺めていました。
下山は分岐まで下りてきたら周回コース、ぐるりと新小屋峠まで下ります。
烏ヶ山の狭い山頂では調理は難しく、広い所を求め歩いたけど結局どこもなく(笑)
お昼ご飯お預けのまま象山(1085m)へ向かいました。
象山は烏ヶ山と違って遊歩道の様になっていて終始歩きやすいです。とても紅葉が綺麗でついつい足を止めて森林浴しながらゆっくり歩いてしまいました。
山頂は烏ヶ山よりも開けていてやっとご飯にありつけました。
象山の山頂直下の展望台からみた風景はこんな感じです。
烏ヶ山と木が邪魔をして大山は微妙な見え方でした。
後はぐるりと周回してススキ野を歩いたらもう駐車場は目の前、登山完了です。
やはりお天気も良く、近ければ近いほど大山の絶景度は増します。
色んな条件もそろった上で烏ヶ山が1位という結果となりました。
あえて大山には登らず「大山の絶景を観る山登り」参考にして頂けると嬉しいです。
【番外編】
下の写真、鳥取県江府町「御机の茅葺小屋」(みづくえのかやぶきごや)と言われている場所にはこんなに美しい撮影スポットがあります。(蒜山インターから20分)
また「鬼女台」(きめんだい)という869mの三角点のある山(展望台)は、ほぼ登らずして大山の絶景を観ることができます。(蒜山インターから12分)
今から訪れる紅葉の時期に大山の絶景スポットを探すドライブも楽しそうです。
蒜山高原お勧めの場所
塩釜の冷泉と塩釜堂
塩釜の冷泉とは日本名水百選に選ばれている、年中11度を保つとても冷たくて美味しい水です。
今回は登っていませんが中蒜山登山口のすぐそばに水源があります。
塩釜堂は塩釜の冷泉の水源に行く前の入口にあるかき氷屋さんです。
塩釜冷泉の水をたっぷりと使用した塩釜冷泉コーヒーやかき氷、蒜山ジャージー牛乳を使用したソフトクリームなどが楽しめます。水を汲んだ後はここでのんびりするのもいいですね。
- 営業時間 10時~16時
- 住所 岡山県真庭市蒜山下福田27−50(ひるぜん塩釜キャンピングヴィレッジ内)
Youtube動画でも1〜3位の山を紹介しています
三位 下蒜山
二位 三平山
一位 烏ヶ山