高社山(こうしゃさん)は、別名を高井富士(たかいふじ)という長野県中野市・山ノ内町・木島平村の境界に位置する山です。「信州百名山」や「日本百低山」「日本百富士」などに選ばれています。
30~20万年前に活動していた成層火山で、その整った山容から高井富士とも呼ばれています。山腹には3つのスキー場が営業しており、冬には多くのスキー客が訪れます。また、付近には不動滝やまぼろしの樽滝など観光名所も多く、登山とともに観光としても楽しめる山です。
この記事では、高社山の基本情報や魅力、登山コースごとの特徴などを紹介しています。高社山登山を計画している方や、中野市周辺の観光に興味がある方はぜひ参考にしてみて下さい。
高社山の基本情報と魅力
高社山は、長野盆地と飯山盆地を分けるように位置しており、複数の登山コースがあるため方角や季節によって様々な表情を見せくれます。そのため、県内有数の地域密着型の山で、越年登山や学校登山など老若男女問わず愛されている山です。
高社山は、20~30万年前に活動した成層火山で、安山岩の溶岩と火砕流、軽石流などが重なって出来上がりました。山域には溶岩が作り出した奇岩が点在しており、古くから信仰の対象ともなってきました。
高社山は1年中登ることが可能な山ですが、春先まで残雪が残ります。積雪期の山行には、十分な装備と経験を必要とします。おすすめの時期は初夏と秋で、初夏には数多くの山野草や新緑のすがすがしい世界が広がり、秋には美しい紅葉の景色を楽しめます。
山の名前 | 高社山(こうしゃさん) |
---|---|
標高 | 1351m |
エリア | 上信越 |
詳細情報 | 高社山の地図・天気 |
魅力その①四季を感じる360度の絶景
高社山は、長野盆地と飯山盆地の境目に位置している単独峰で、周囲の眺望がすばらしい山でもあります。ふもとの木島平村などの田園風景から季節の移ろいを感じ、飯山地方に伸びる開田山脈や北信五岳、遠くは北アルプスまで眺めることができます。
特に、春先のさくらや千曲川沿いに広がる黄色い菜の花畑、秋にはブナの紅葉が広がり、冬には日本有数の豪雪地帯であたり一面が白銀の世界へと変わります。高社山からは、このような長野県北信地方ならではの季節の移ろいを感じることができ、いつ訪れても美しい風景を眺めることのできる山です。
魅力その②十三仏を数えながら登る山
長野県北信地域では十三仏の信仰が深く、戸隠山や飯縄山、そしてこの高社山にも登山道上に十三仏が祀られています。高社山の西側、谷厳寺から登っていくと不動明王から始まる十三の石仏をたどりながら、登山道は高社山山頂へとつながっていきます。ひとつひとつ数えながら、稜線まで上がっていくことができるのも、この高社山の魅力の一つです。
また、十三仏だけでなく、天狗岩や天狗の飛び石、八幡神社に御嶽神社などがあります。高社山が地元の人々とともにある山だと実感でき、歴史を感じられる趣深くおもしろい登山となるでしょう。
魅力その③スキーや温泉、滝などの観光とともに
高社山は、3つのスキー場やゴルフ場、温泉や滝など、レジャースポットや観光名所が周囲に多い山でもあります。
冬には、高社山の斜面に3つのスキー場が営業し、多くのスキー客が訪れます。また、温泉大国である長野県の中でも数多くの温泉がある地域で、ふもとのよませ温泉をはじめ、近くには渋温泉や湯田中温泉などの有名な温泉街もあります。
他にもゴルフ場や、幻の滝・樽滝、信州そばなど多種多様な観光名所が近くにありますので、登山×観光で、この地域を楽しみに行く山旅がおすすめです。
高社山の難易度別おすすめ登山コース
【谷厳寺ピストンコース】
①谷厳寺駐車場→10分→②谷厳寺登山口→40分→③分岐→65分→④分岐→40分→⑤天狗岩→25分→⑥高社山→20分→⑦天狗岩→30分→⑧分岐→50分→⑨分岐→30分→⑩谷厳寺登山口→10分→⑪谷厳寺駐車場
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 5時間20分 |
距離 | 約8.0km |
累積標高 | 約970m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
高社山の西側、谷厳寺の脇から登っていくルートで、スキー場のゲレンデを通らないため最も登山らしい登山を楽しめるコースです。
長野県中野市から高社大橋を渡り北へ向かうと、左手に高社神社中社、右手に谷厳寺が現れます。谷厳寺手前の交差点に大きな「高社山登山道入口」の看板があり、その北側の路肩に駐車スペースがあります。20台ほどの駐車スペースがあり、高社神社の方に150mほど下ると公衆トイレもあります。
谷厳寺わきの道を看板に従って登っていくと、墓地の奥に高社山登山道の入口が出てきます。こちらまで車で来ることもできますが、駐車スペースはありません。
初七日から三十三回忌までの忌日を司るとされる十三仏信仰の深い長野県北信地域の象徴的な山で、登山道上には十三仏の石仏が祀られています。
登山道へ入っていくと、すぐに一つ目の十三仏である不動明王と刻まれた石仏が現れます。またその先には、大きな金色の不動明王や大日如来、勢至菩薩の仏像が出てきます。8mほどある大きな仏像で、山の中に鎮座するその姿は、物静かでありながら迫力を感じます。
谷厳寺裏手から北東方向に伸びていく尾根を進んでいくにつれ、それぞれ特徴的な十三仏の石仏が現れます。8つめの観音菩薩までくると、休憩用のベンチから高社山山頂が垣間見ることができます。
尾根を登りきると、稜線上の鞍部にある胴結場に到着します。ここには、三つの十三仏が並んでおり、木々の間からは志賀高原方面を眺めることができます。
急斜面と緩斜面を繰り返す稜線を進むと、最後の十三仏である虚空蔵菩薩が現れます。虚空蔵菩薩を過ぎると、八幡神社のあるピーク、高社神社奥の院にあたる岩室と続いていきます。
岩室からは、そのまま山頂へも迎えますが、右側の斜面をトラバースすると奇岩の一つである天狗岩の上に行くことができます。天狗岩ではかなりの高度感がありますが、その分眺望がよく周囲の景色を一望できます。
稜線に戻り、高さ5mほどの唯一の鎖場をクリアすると、最後の急登を乗り越えて西峰に到着です。西峰には、御嶽神社の大きな石造りの社殿があります。5分ほど先の東峰に、山頂標識などがあります。
高社山山頂となる東峰には、さすがは信仰の山といった感じで、様々な石碑や社殿が置かれています。また、山頂部には展望デッキが設置されており、志賀高原や戸隠や黒姫などの北信の山々を見渡すことができます。
【よませ温泉スキー場ピストンコース】
①よませ温泉スキー場→105分→②高社山→75分→③よませ温泉スキー場
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 3時間00分 |
距離 | 約4.0km |
累積標高 | 約560m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
高社山の南斜面にあるよませ温泉スキー場のゲレンデを利用して登るルートです。三つのコースのうち、距離と標高差が最も短く初心者の方にもおすすめできるコースです。
登山口は、よませ温泉スキー場の中間部、第5ペアリフトの乗り場前にあります。下の大きな駐車場を過ぎ、そのまま車で上がっていくと、道の終端に駐車スペースがあり、そこが登山口となっています。特に看板等はありませんが、目の前に見えるゲレンデをトップまで登っていきます。
登山口からは、ゲレンデに設けられた道をひたすら登っていきます。このコースでは、およそ2/3はゲレンデ登りになります。夏には、草が生い茂っておりますが、秋にはススキ畑となり美しい秋の光景を見ることもできます。
ゲレンデトップからは、登山道に入ります。木々が迫ってきており、狭くうっそうとした道を進んでいきます。ゲレンデトップからは、距離は短いですが、山容からも分かる通、急登の尾根道となっています。
それでも、途中に出てくる一枚岩や鷹見岩では、眺望もよく休憩適地になっています。尾根を登り切れば、高社山山頂の東峰に到着です。
【木島平スキー場ピストンコース】
①木島平スキー場→75分→②分岐→35分→③分岐→15分→④高社山→10分→⑤分岐→25分→⑥分岐→55分→⑦木島平スキー場
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 3時間35分 |
距離 | 約5.0km |
累積標高 | 約660m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
高社山の北斜面にある木島平スキー場のゲレンデから登るルートです。ゲレンデを直登せずに、脇の登山道を登ります。北斜面でブナ林があり、他の2コースとはまた違った雰囲気を楽しめます。
木島平スキー場の駐車場の中で、最も上部にあるやまびこ駐車場からスタートします。約180台ほど駐車可能なスペースがあり、駐車場について心配する必要はないでしょう。ただし、トイレ等の施設はありません。
ゲレンデトップの方を向いて右手側に登山道があります。小さな看板が出ていますので、したがって進んでいきます。ゲレンデから林を挟んだ谷地形に伸びた登山道をひたすら登っていきます。
谷間からスキー場側の尾根へ向かって登っていくと、標高1100mほどでブナ林コースとやまびこコースの分岐になります。どちらのコースからでも登頂は可能で、ブナ林コースは迂回気味に、やまびこコースはジグザグと最短経路で登っていきます。
ブナ林ルートでは、スキー場のゲレンデトップに出ていきます。こちらのゲレンデは、冬には国内最大傾斜角の46度を誇る絶壁のゲレンデですので、かなりの高度感があります。そのゲレンデトップには、高社山テラスが設置されており、木島平村から飯山市方面の展望が広がっています。
やまびこコースから山頂へ向かっても、急斜面のブナ林の中をジグを切りながら登って1時間ほどで山頂に到着します。
高社山のQA
高社山に関する質問で多いのは、登山ルートや気温・積雪などに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。
高社山の登山レベルは?初心者でも登れる?
高社山の登山ルートは、どのルートでも初心者から上級者の方まで、だれでも登ることができ、登山を楽しめるコースになっています。スキー場のリフトを利用すれば、体力に自信のない方でも十分に頂上まで行けるでしょう。
また、高社山は地元でも人気の山で、登山道はよく整備されており道迷いの心配はありません。安心して登山を楽しめるでしょう。
高社山の気温は?どんな服装で行けばいい?
高社山のある中野市の月ごとの平均最低気温と最高気温を下記の表にまとめました。冬の最高気温は1桁ですが、夏は30℃を超えてきます。また、同じ月でも最高と最低が10℃ほどの差があり、寒暖差の激しい地域です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高 | 3.1 | 4.2 | 8.6 | 17.1 | 22.3 | 25.0 | 28.7 | 30.5 | 24.9 | 18.5 | 12.6 | 6.4 |
最低 | -4.9 | -4.3 | -1.5 | 4.8 | 10.0 | 15.3 | 19.8 | 20.9 | 16.3 | 8.8 | 2.7 | -2.1 |
夏は非常に暑くなります、熱中症予防をきちんとするようにしましょう。7,8月を除けば、日によっては冷え込む場合があるので春や秋でも上着を持っていくといいでしょう。
冬期間はしっかり冷え込みますし、長野県内でも多雪地域に位置しています。積雪期の登山は、十分な下調べと装備、経験をもとに安全に配慮して行う必要があります。
高社山で見られる山の花は?見ごろは?
高社山では、晩春から初夏にかけて様々な山野草のお花を見ることができます。下の表に見ごろと一緒にまとめて紹介しますので、参考にしてみてください。
山の花 | 見ごろ | 山の花 | 見ごろ |
---|---|---|---|
カタクリ | 4月 | イチリンソウ | 4~5月 |
ショウジョウバカマ | 4月 | タムシバ | 5~6月 |
ニシキゴロモ | 4~5月 | タニウツギ | 5~6月 |
ヤマブキ | 4~5月 | イワカガミ | 6~7月 |
登山口へのアクセス・各種情報
どちらの登山口へも、アクセスは車がおすすめです。冬は、路面に積雪が合ったり凍結していることもありますので、十分にご注意ください。
谷厳寺登山口
登山口情報
長野県中野市から飯山市方面へ向かう国道292号線より西に入った赤岩地区にある谷厳寺の脇に登山口があります。中野市より北に向かっていくと、右手に高社山登山道入り口の大きな看板があり、その向こう側の道路右側の路肩スペースが駐車場です。
道路沿いに設けられた駐車場は20台ほどのスペースがあり、比較的ゆったりと駐車することができます。また、看板から高社神社の方に下っていくと公衆トイレがあります。
登山口は、看板から谷厳寺の裏手に回り込むように登って行った先にあります。
登山口までのアクセス
中野市方面から
信州中野ICから車で約15分
飯山市方面から
豊田飯山ICから車で約15分
よませ温泉スキー場
登山口情報
高社山の南側、山ノ内町にあるスキー場です。中野市から北志賀高原へ向かう国道403号線を行くと左手にあります。
よませ温泉スキー場最下部には1000台以上駐車可能な広大な駐車場がありますし、登山口となる第五ペアリフト乗り場近くにも駐車スペースがあります。周辺にホテル等の施設はありますが、スキー場営業期間外に使用可能なトイレはありません。
登山口までのアクセス
中野市方面から
信州中野ICから車で約25分
飯山市方面から
豊田飯山ICから車で約25分
木島平スキー場
登山口情報
高社山の北側に位置する木島平スキー場の中腹に登山口があります。スキー場最下部や中腹にも広大な駐車場がありますが、最上部のやまびこ駐車場が登山口となっています。
駐車場は180台ほどが駐車可能で、トイレ等の施設はありません。
登山口までのアクセス
中野市方面から
信州中野ICから車で約30分
飯山市方面から
豊田飯山ICから車で約25分
高社山周辺のおすすめ山旅スポット
遠見乃湯
高社山の登山口の一つ、よませ温泉スキー場近くにある日帰り入浴施設です。高台にある露天風呂で、名前の通り遠くまで見渡せる抜群の展望露天風呂になります。
内湯はありませんが、広い天然石の露天風呂から、善光寺平や北信五岳、その向こうにそびえる北アルプスまで見渡せます。特に冬の夜には、雪と夜景のコラボレーションが美しくおすすめです。
手打そば樽滝
木島平村の高社山のふもとにある年に一度しか水が流れ落ちない幻の滝・樽滝に由来する手打ちそばの名店です。古くから北信濃に伝わるヤマゴボウをつなぎに使用した「ボクチそば」に、木島平村の龍興寺清水を使用した「名水火口そば」をいただけます。
北信濃ならではの風味豊かで、喉ごしが良く、噛み応えのあるコシのあるそばを是非食べてみてはいかがでしょうか。