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2泊3日がおすすめ 南アルプスの前岳登山を難易度ルート別に紹介

2泊3日がおすすめ 南アルプスの前岳登山を難易度ルート別に紹介

前岳は南アルプスにある荒川三山のひとつです。アクセスが悪く日帰りが難しいため、2泊3日や3泊4日など山小屋に宿泊して楽しむとよいでしょう。荒川三山である中岳や悪沢岳とともにめぐるコースが人気で、登山中級者~上級者におすすめの山です。

前岳の基本情報と魅力

前岳は中岳、悪沢岳とともに荒川三山と呼ばれています。冬は雪深くなるため登山時期は7月上旬から10月上旬となります。最も登山される季節は夏ですが、紅葉が見頃を迎える9月下旬も人気です。前岳は氷河地形が残っており、複数のカール地形がみられます。前岳の西斜面はダイナミックな変動地形が見どころです。

山の名前前岳
標高3068m
エリア南アルプス
詳細情報山の地図・天気

氷河地形の残るカール

前岳は氷河地形の残る日本最南端の山です。南東にあるカールには、幅150ⅿ、長さ300mの岩石氷河が分布しています。発達したカール地形で、アルペンな雰囲気を楽しみましょう。

高山植物の花畑

前岳から登山道の中継基地となる荒川小屋までは、高山植物の花畑が広がっています。南アルプスを代表する花畑で、青や黄色といった色とりどりの高山植物がみられます。秋にはナナカマドやダケカンバの紅葉が見事です。

富士山と周囲の山々の雄大な景色

頂上からは荒川三山をはじめとした南アルプスの山々を眺められます。

前岳は富士山が真正面に見えるロケーションで、カメラマンに人気の山です。登頂した際は、ぜひ富士山をバックに記念写真を撮ってみてください。

荒川三山縦走2泊3日ゆったりコース

前岳は2泊3日で荒川三山・赤石岳をぐるっと一周するコースが人気です。山小屋に宿泊し、ご来光などゆっくり景色を楽しめます。

コース・所要時間(目安)

【1日目】椹島ロッジ(150分)→小石下(80分)→清水平(60分)→見晴台(70分)→駒鳥池(45分)→千枚小屋

【2日目】千枚小屋(55分)→千枚岳(60分)→丸山(40分)→悪沢岳(80分)→中岳(75分)→荒川小屋

【3日目】荒川小屋(105分)小赤石岳の肩(65分)→赤石岳(70分)→砲台型休憩所(85分)→赤石小屋(225分)→椹島

必要日数2泊3日
総コースタイム17時間52分
休憩時間目安2時間26分
距離26.9km
累積標高3135m
難易度★★★☆☆

コース概要

駐車場からバスで一時間ほど揺られて椹島ロッヂに到着します。椹島ロッヂの脇から林道を歩いて登山口へ向かいます。分岐があるので千枚岳方面に進みましょう。

登山口を過ぎるとすぐに吊り橋が現れ、この吊り橋を渡ると悪沢岳に向けての登山道が始まります。しばらくは、急な登りの樹林帯が続きます。

足元には、緑の苔に美しく覆われた切り株が見られるでしょう。見晴台や駒鳥池で休憩をしつつ、樹林帯の緑の景色の中を進んでいき、千枚小屋に到着です。
1日目は千枚小屋に宿泊となります。

2日目は、まず千枚岳の山頂を目指します。はしごなども整備されていますが、岩場が多いため足元に気を付けて進みましょう。山頂からは、赤石岳など隣接する山々を臨むことができ、雄大な景色を楽しめます。

千枚岳山頂から丸山を経ると、悪沢岳(東岳)山頂です。山頂に近づくにつれ、再び大きな岩の上を歩くような岩場になります。これはラジオリヤチャート岩盤という赤い岩盤で悪沢岳の魅力の一つです。足下の登山道の目印を見落とさないよう気を付けましょう。

天気の良い日は南アルプスの山々はもちろん、槍ヶ岳や、八ヶ岳なども見ることが出来ます。

悪沢岳での景色を楽しんだら、荒川三山最後の頂上である前岳を目指しましょう。悪沢岳頂上から少し下ると、細かいザレた登山道の登り返しです。振り返ると、悪沢岳から続く稜線の迫力ある景色を見られます。

前岳の山頂からも、南アルプスの山々を眺められ、晴れていれば富士山を真正面に収められます。

荒川三山の付近には、南アルプス最大級の花畑が広がっており、荒川小屋に向かう途中には雄大なカールも見渡せます。10種類以上の可憐な花々が登山者を楽しませてくれるでしょう。前岳・中岳は徒歩4分ととても近く、山頂の景色と花畑を堪能したところで荒川小屋へ向かい宿泊となります。


3日目は荒川小屋から出発し、見晴らしの良いハイマツに覆われた登山道を進みます。勾配の緩やかな、比較的歩きやすい登山道です。標高3000m付近の空中散歩を楽しみましょう。

山頂手前の石の急登を登りきると、赤石岳山頂へ到着です。晴れた日には富士山を望めるでしょう。

山頂での景色を楽しんだ後、椹島に向かってカール地形を下ります。足元に注意して安全に下山してくださいね。

駐車場について

畑薙夏季臨時駐車場は、畑薙ダムの手前に7月上旬~10月中旬のみ臨時で解放される駐車場です。標高925mに位置し、携帯の電波もつながります。

駐車可能台数は200台と余裕があります。仮設トイレがあり、駐車料金は無料です。

ここから悪沢岳登山口までの送迎バスが出ていますが、以下の山荘のいずれかに宿泊する必要があります。

  • 椹島(さわらじま)ロッヂ
  • 椹島登山小屋
  • 二軒小屋登山小屋
  • 千枚小屋
  • 赤石小屋
  • 荒川小屋
  • 百間洞山の家
  • 熊の平小屋
  • 赤石岳避難小屋
  • 中岳避難小屋
  • 高山裏避難小屋

荒川三山 鳥倉から日帰りピストンコース

難易度は高いですが、鳥倉から日帰り登山も可能です。こちらのコースは悪沢岳・前岳・中岳をめぐるコースとなります。

コース・所要時間(目安)

https://yamatabitabi.com/wp-admin/admin.php?page=WP-GPX-Maps#

越路バス停(30分)→鳥倉登山口(1時間23分)→三伏峠小屋(27分)→烏帽子岳(25分)→前小河内岳(16分)→小河内岳(41分)→大日影山(19分)→板屋岳(19分)→高山裏避難小屋(1時間28分)→前岳(6分)→荒川中岳(43分)→東岳(悪沢岳)(36分)→荒川中岳避難小屋(2分)→前岳(1時間9分)→キャンプ場(28分)→板屋岳(17分)→大日影山(55分)→小河内岳(17分)→前小河内岳(21分)→烏帽子岳(18分)→三伏峠小屋(1時間1分)→鳥倉登山口(20分)→越路バス停

必要日数日帰り
総コースタイム15時間26分
休憩時間目安1時間8分
距離40km
累積標高4025m
難易度★★★★☆

コース概要

鳥倉登山口からスタートです。途中で手書きの「三伏峠小屋まであと200歩」の看板が置いてあります。

三伏峠小屋を通りすぎると、荒川岳・小河内岳方面と塩見岳・本谷山方面の分かれ道があります。右の荒川岳・小河内岳方面へ進みましょう。

しばらく樹林帯の中をひたすら登っていきます。

烏帽子岳付近から稜線に出ますが、寒くなってくるので防寒対策は必須です。烏帽子岳にも目印となる看板がありますので、見逃さないようにしましょう。

小河内岳に到着。標高は2802mで、南アルプスの山々を見渡せます。

大日影山・板屋岳を通過し、高山裏避難小屋に到着します。少し休憩してあたたまりましょう。避難小屋から1時間30分程度歩いて、いよいよ荒川三山の一つ目、前岳に到着です。

前岳から荒川中岳の間は、色とりどりの花畑が広がっています。さまざまな高山植物が咲き乱れている様子は絶景ですので、ゆっくりと散歩を楽しんでください。6分ほどで荒川中岳に到着します。

荒川岳を通り過ぎると、悪沢岳にむかって登り返しです。悪沢岳のカールはごつごつとした岩場も多いため、足を滑らせないよう気を付けましょう。

悪沢岳山頂からは、赤石岳や蝙蝠岳を見渡せます。悪沢岳山頂についたら、来た道を下って帰りましょう。

駐車場について

鳥倉林道ゲート駐車場は鳥倉ゲート付近、越路バス停横にある駐車場で、標高は1666mです。駐車台数は約30台で、トイレが設置されています。登山ポスト・自販機は駐車場にはありません。

前岳のQA

前岳については、椹島登山口からのルートについての質問が多いです。雷鳥の生息地についても質問がみられました。

Q 悪沢岳から赤石岳まで時計の逆回りで登ったのですが、途中の中岳と前岳は通過しているでしょうか?

A荒川三山から赤石岳に向かうとき、縦走路の場合中岳は山頂を通りますが、大聖寺平への巻き道に入る前に前岳を往復しないと、かすめてしまいます。三伏峠から南下する道は、前岳を超えていきます。

Q 赤石岳と荒川三山の登山を計画しています。椹島から時計回りで登った方がいいのか、逆回りで千枚岳をまず目指した方がいいのか、体力的にはどちらが楽ですか?

A 千枚小屋までのほうがゆっくりとした登山道なので、体力的には逆回りのほうがおすすめです。百間洞や聖岳のほうに足をのばす登山者も多く、時間と体力に余裕があればルート変更もできます。

Q 前岳で雷鳥はみられますか?

荒川前岳から赤石岳へのお花畑でみられました。

登山口へのアクセス・各種情報

椹島登山口には椹島ロッジがあるため、前泊して登るのもおすすめです。駐車スペースがないため、塩見岳方面から荒川三山への登山は、鳥倉登山口を利用しましょう。

鳥倉登山口は夏季シーズンに限り1日2便のバスが運行されており、登山口前で降車できます。駐車場からは30~40分ほど歩く必要がありますので、夏山シーズンはバス利用がおすすめです。

椹島登山口

登山口情報

椹島登山口は大井川・畑薙湖奥部の東俣林道の牛首峠を過ぎた先にあります。林道は畑薙第一ダム先の沼平にゲートがあり、11月下旬から4月下旬は冬季閉鎖、それ以外の期間でも一般車両の通行は禁止です。

椹島登山口に駐車スペースはないため、畑薙第一ダムの臨時駐車場に駐車します。

駐車場から1時間ほど東海フォレストの送迎バスに乗車しますが、送迎バスを利用するには東海フォレストが運営する宿泊施設やレストハウス、キャンプ場に宿泊が必要です。東海フォレストの送迎バスの始発は午前8時ですから、椹島ロッジへ前夜泊するとゆとりをもって登山に臨めるでしょう。

登山口へのアクセス

車でのアクセスは、新東名の新静岡インターから畑薙第1ダムへは約2時間かかります。

公共交通機関を利用する場合は、夏季シーズンに限ってJR静岡駅から畑薙第1ダムへ1日1本のジャストライン直行バスが出ています。東京からは毎日アルペンバスが1日1本畑薙第1ダムへ来ており、畑薙第1ダムから東海フォレストの乗り継ぎバスで登山口へ向かいます。

椹島ロッジについて

営業期間:4月下旬~11月上旬まで

料金・素泊まりの山小屋:1泊6500円

  ・ロッジ:1泊2食付き9500円

  ・シャワー入浴:500円(9:00~13:00)

お問い合わせ・予約:0545‐46‐4717

鳥倉登山口

登山口情報

鳥倉登山口は塩川土場よりも標高が高いため、三伏峠までの所要時間が短い登山口です。仮設トイレ、登山届ポストが設置されています。売店や自動販売機はないため、飲み物や食料はしっかりと準備して登山口に向かいましょう。

登山口へのアクセス

登山口に伊那バスのバス停があり、JR飯田線伊那大橋駅からバスで約1時間50分かかります。

マイカーの場合は、中央松川ICから鳥倉林道ゲート駐車場まで約1時間30分です。ここから鳥倉登山口まで約30~40分歩きます。

前岳周辺の観光スポット

赤石温泉白樺荘

こちらの温泉は市営温泉で、悪沢岳の登山口近くに位置します。泉質は単純硫黄泉で、神経痛や関節痛に効果があり、独自のぬるぬる感が楽しめます。登山で疲れた体を癒しに訪れてみてはいかがでしょうか。

日帰り入浴

  • 4月~11月 午前10:00~午後6:00
  • 12月~3月 午前10:00~午後5:00

日帰り入浴料

  • 中学生以上 ¥510
  • 小学生 ¥200
  • 小学生以下無料

塚原山フルーツ農場

塚原山フルーツ農場では、新鮮な果物狩りを体験できます。

減農薬にこだわったもぎたてのフルーツは絶品です。山頂の景色を思い出しながら、南アルプスの果物を味わってみてはいかがでしょうか。

体験可能なフルーツ

  • さくらんぼ:5月末~6月中旬
  • すもも:7月初旬~中旬
  • ぶどう(巨峰・シャインマスカット):9月
  • ぶどう(甲斐路):10月
  • 梨:9月~10月末
  • 洋梨:10月末
  • 柿:10月中旬~10月末

夢のつり橋

出典:夢のつり橋寸又峡温泉

夢のつり橋では、青く美しいダム湖が絶景と人気です。約90mのつり橋からみられる湖面の青色は、透明度の高い水が起こす物理現象によるものといわれています。

荒川三山近くの絶景も一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

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