斑尾山(まだらおやま)は、長野県飯山市と信濃町との間に位置しており、「日本三百名山」や「甲信越百名山」「信州百名山」などに選ばれている人気の山です。長野県の県庁所在地である長野市をはじめとした長野盆地から眺められる斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯綱山をまとめて「北信五岳」と言い、地域の方々から親しまれています。
斑尾山の北東面には、タングラムスキーサーカスや斑尾高原スキー場が営業しており、ウィンタースポーツを楽しめる山でもあります。他にも、まだらおの湯をはじめとした温泉施設やゴルフ場、キャンプやサウナで人気の野尻湖が近くにあるなど、登山と観光を中心に充実した週末を過ごすことができるでしょう。
この記事では、斑尾山の基本情報や魅力、登山コースごとの特徴などを紹介しています。斑尾山登山を計画している方や、飯山市・信濃町周辺の観光に興味がある方はぜひ参考にしてみて下さい。
斑尾山の基本情報と魅力
斑尾山は、長野県と新潟県の県境近くにある標高1,382mの成層火山で、約70~50万年前に活動していました。斑尾山の西側に位置する野尻湖は、斑尾山の火山活動によってせき止められ、形成したと言われています。
斑尾山の山名の由来は複数あり、空海が全国布教の途中に観経の写経をこの山の峰に埋めた「曼陀羅の峰」から斑尾となった説や、春の残雪の残り方が斑模様になる説などが言われています。
古くから信仰の対象となった山でもあり、斑尾山の最高峰を薬師岳と呼んでおり、いくつかの伝説が残されています。
現在、山頂に祀られている石の祠には、13体の石仏が入っており、一度祠から出すと最後の一体はうまく戻らなくなるが、そのまま下山すると次の日には自然ともとに戻っているという不思議な伝説があります。また、この石仏にいたずらをすると天気が悪くなると今でも言われているなど、地域の人々とともに時間が過ぎてきた歴史ある山です。
斑尾山は1年中登ることが可能な山ですが、春先まで残雪が残ります。積雪期の山行には、十分な装備と経験を必要とします。おすすめの時期は初夏と秋で、初夏には数多くの山野草やブナの新芽がすがすがしく、秋には美しい紅葉の景色を楽しめます。
山の名前 | 斑尾山(まだらおやま) |
---|---|
標高 | 1,378m |
エリア | 上信越 |
詳細情報 | 斑尾山の地図・天気 |
魅力その①野尻湖と北信五岳の絶景
斑尾山の山頂は、残念ながらあまり視界が開けておらず、眺望が良くありません。しかし、山頂から10分ほどの位置にある大明神岳からは、眼下にたたずむ野尻湖と、その向こうに広がる北信五岳の絶景が広がっています。
また、タングラムスキーサーカスから登ってくると、途中にある野尻湖テラスからも同じように、野尻湖と北信五岳の絶景を楽しめます。
魅力その②豊富なアクティビティ
斑尾山には2つのスキー場があり、冬場はもちろんのこと、グリーンシーズンにもジップラインや展望台までの観光リフトなどをはじめとした様々なアクティビティが用意されており、年間を通して楽しむことができます。
また、周辺にはナウマンゾウで有名な野尻湖があり、大人気のサウナ施設「LAMP 野尻湖」やキャンプ場などの施設が豊富にあります。他にもゴルフ場や、グランピング施設、温泉など、周辺には週末を過ごすには十分すぎるほどの観光スポットがあり、登山と合わせた山旅を堪能できるでしょう。
魅力その③初心者から楽しめる登山
斑尾山には、東西南北の4方向から登ることができます。どのコースから登っても、危険箇所や岩場、鎖場などはなく、初心者の方でも安心して登ることができるでしょう。
また、タングラムスキーサーカスの夏山リフトを利用すれば、標高1100m地点からのスタートになるため、体力的にも余裕をもって登ることも可能です。
斑尾山の難易度別おすすめ登山コース
【斑尾高原スキー場ピストンコース】
①チロル前登山口→25分→②分岐→70分→③スキー場トップ→15分→④斑尾山山頂→10分→⑤大明神岳→10分→⑥斑尾山→15分→⑦スキー場トップ→40分→⑧分岐→20分→⑨チロル前登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 3時間25分 |
距離 | 約4.7km |
累積標高 | 約525m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
斑尾山の北東面に位置する斑尾高原スキー場を登山口とするコースで、コースの半分以上をスキー場のゲレンデを歩きます。登山口へのアプローチが容易で、比較的標高差も少なく、登山初心者の方でも十分に楽しめるコースです。
登山口の斑尾高原スキー場には、400~500台ほど駐車可能な大きな駐車場が斑尾高原ホテル前にあります。この駐車場からは、歩いて数分のところに清潔で手入れのされた公衆トイレもあり、だれでも利用することができます。
登山口になるのは、ゲレンデ方面に登って行った先にある「レストラン チロル」の横になります。すぐ脇に数台が駐車可能な路肩スペースが「斑尾山登山者専用駐車場」となっていますので、こちらを利用してもいいでしょう。
チロル脇からは、ひたすらゲレンデを登っていきます。コースタイムにして1時間半ほどの道のりを日差しを遮るもののないゲレンデを歩きますので、夏の猛暑の際には熱中症などにも注意が必要です。
スキー場トップからは、登山道に入り15分も行けば稜線の分岐点に到着します。あとに紹介するタングラムスキーサーカスからのコースとの合流地点です。斑尾山山頂までは、500mほどの距離で10分ほどで行けるでしょう。
稜線上は、アップダウンの少ないブナの樹林帯になっています。眺望は利きませんが、春や秋にはブナの森の美しい光景が広がるでしょう。10分ほどで斑尾山山頂に到着しますが、相変わらず眺望はよくありません。
斑尾山山頂からは、往復10分ほどで西側にある大明神岳まで往復できます。大明神岳からは、隣の北信五岳である黒姫山とその間に広がる野尻湖の美しい景色が広がっていますので、ぜひ足を延ばしてみてください。
【斑尾の湯ピストンコース】
①まだらおの湯→45分→②大池分岐→10分→③登山口→85分→④斑尾山山頂→10分→⑤大明神岳→10分→⑥斑尾山→50分→⑦登山口→5分→⑧大池分岐→30分→⑨まだらおの湯
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 4時間05分 |
距離 | 約6.8km |
累積標高 | 約630m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
斑尾山の西側にある「まだらおの湯」という温泉施設から始まる、スキー場を利用しないコースです。斑尾高原スキー場からのコースと比べると、標高差・コースタイムともにやや増え、登山らしい登山を楽しめるコースになっています。
登山口は、豊田飯山インターから斑尾高原スキー場に向かう道の途中にある「まだらおの湯」の脇からスタートします。施設正面に舗装された大きな駐車場がありますが、登山者は道向かいにある無舗装の第二駐車場を利用しましょう。
まだらおの湯の脇から大池の西側に進んでいくと、白樺やカラマツ林のやや幅が広く、よく整備されていて歩きやすい登山道となります。途中、何度か無舗装の林道と交差しながら登っていくと、舗装された林道に出ます。この林道を北に行くと、斑尾高原スキー場につながっています。
舗装路に出たら左にしばらく進むと、また山の中に入っていく登山道の分岐になります。ここからは、斑尾山の稜線まで尾根を直登していきます。
結構な急登の尾根を進んでいくと、あたりは春や秋に美しい光景の広がるブナ林に変わります。ブナ林の尾根を登りきって稜線に上がれば、斑尾山山頂はもうすぐ近くにあります。下りは、来た道を戻るピストンでも、斑尾高原スキー場から下りて林道を歩く周回コースにしても良いでしょう。
【タングラムスキーサーカスピストンコース】
①タングラムスキーサーカス→70分→②野尻湖テラス→50分→③タングラムスキー場トップ→15分→④斑尾高原スキー場トップ→15分→⑤斑尾山山頂→10分→⑥大明神岳→10分→⑦斑尾山→15分→⑧斑尾高原スキー場トップ→10分→⑨タングラムスキー場トップ→30分→⑩野尻湖テラス→40分→⑪タングラムスキーサーカス
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 4時間25分 |
距離 | 約6.8km |
累積標高 | 約690m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
こちらは、斑尾山の北面にあるタングラムスキーサーカスからスタートして、一部ゲレンデを利用して登るルートです。下からすべて歩けば700m近い標高差になりますが、夏場にも野尻湖テラスまでリフト利用が可能で、利用すれば手軽に斑尾山登山を楽しむことができます。
駐車場は、タングラムスキーサーカスの駐車場で、広大な敷地があり困ることはないでしょう。夏でもリゾート地として、様々なアクティビティやホテルが営業していますので、施設面でも困ることはありません。
タングラムスキーサーカスにあるトレッキングルートを使って、観光リフトの頂上部にある野尻湖テラスを目指します。スキー場の林間コースやユリ園などを進みながら、ひたすらに登っていきます。観光リフトの営業期間中であれば、1500円(片道・往復同額)でリフトを利用して一気に標高1100mまで上がることもできます。
野尻湖テラスでは、南西面にむかって視界がひらけており、野尻湖とその向こうにそびえる北信五岳の美しい景色を堪能できます。野尻湖テラスからは、尾根に設けられたゲレンデをさらに登っていき、スキー場トップまで上がっていきます。
万坂峠との分岐となるスキー場トップからは、本格的な登山道となり稜線歩きが始まります。15分ほどのブナ林の稜線を歩くと、斑尾高原スキー場トップから来る分岐に到着し、そこから山頂までは10分ほどです。
【斑尾林道ピストンコース】
①斑尾林道登山口→20分→②釜石山分岐→70分→③大明神岳→10分→④斑尾山山頂→10分→⑤大明神岳→40分→⑥釜石山分岐→10分→⑦斑尾林道登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 2時間40分 |
距離 | 約4.0km |
累積標高 | 約470m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
斑尾山の西面を登るコースで、最も累積標高が小さいコースですが、マイナーな登山道で人の少ないコースです。菅川から来る菅川林道は、Googlemapに記載されていませんが、舗装路で問題なく通行できます。駐車場というよりは、登山口近くの路肩の駐車スペースで、3~5台ほどが駐車可能です。
上記のGooglemapは、菅川神社に合わせてあります。登山口へは、この神社南側から延びる林道を進んでいった先にあります。駐車スペースからすぐ先の斜面に、案内看板のある登山口があり、登山のスタートです。
まずは、目の前の尾根上に上がるために、急斜面にとりついていきます。20分ほどかけて尾根上に出ると、そこには釜石山と書かれた案内板があります。ここは、逆斜面の荒瀬原地区から来るコースとの分岐でもあります。
釜石山分岐からは、ひたすら展望の開けない尾根道が続きます。斑尾山に近づくにつれ急登となり、細尾根の曲がりくねった道となります。途中に「蟻の塔渡り」というポイントがありますが、特に危険個所ではありません。
尾根道がやや広くなり、周囲の木々が低くやや視界が開けてくると大明神岳に到着です。こちらからは、野尻湖方面の眺望がよく、斑尾山登山No.1の絶景ポイントになっています。大明神岳からは、10分ほどさらに尾根を登ると、斑尾山山頂に到着します。
斑尾山のQA
斑尾山に関する質問で多いのは、登山ルートや気温・積雪などに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。
斑尾山の登山レベルは?初心者でも登れる?
斑尾山の登山ルートは、どのルートでも初心者から上級者の方まで、だれでも登ることができ、登山を楽しめるコースになっています。スキー場のリフトを利用すれば、体力に自信のない方でも十分に頂上まで行けるでしょう。
また、斑尾山は地元でも人気の山で、登山道はよく整備されており道迷いの心配はありません。安心して登山を楽しめるでしょう。
斑尾山の気温は?どんな服装で行けばいい?
斑尾山のある飯山市の月ごとの平均最低気温と最高気温を下記の表にまとめました。冬の最高気温は1桁ですが、夏は30℃を超えてきます。また、同じ月でも最高と最低が10℃ほどの差があり、寒暖差の激しい地域です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高 | 2.5 | 3.6 | 8.0 | 16.1 | 22.5 | 25.6 | 29.1 | 30.6 | 26.0 | 19.7 | 13.0 | 5.9 |
最低 | -6.2 | -6.3 | -2.7 | 3.3 | 9.4 | 15.1 | 19.7 | 20.4 | 16.1 | 9.1 | 2.6 | -2.5 |
夏は非常に暑くなります、熱中症予防をきちんとするようにしましょう。7,8月を除けば、日によっては冷え込む場合があるので春や秋でも上着を持っていくといいでしょう。
冬期間はしっかり冷え込みますし、長野県内でも多雪地域に位置しています。積雪期の登山は、十分な下調べと装備、経験をもとに安全に配慮して行う必要があります。
斑尾山で見られる山の花は?見ごろは?
斑尾山では、晩春から初夏にかけて様々な山野草のお花を見ることができます。下の表に見ごろと一緒にまとめて紹介しますので、参考にしてみてください。
山の花 | 見ごろ | 山の花 | 見ごろ |
---|---|---|---|
シロバナミズキボウシ | 6,7月 | ツリフネソウ | 7~9月 |
キツリフネソウ | 6~9月 | サワヒヨドリ | 7~9月 |
サワギキョウ | 7~8月 | チダケサシ | 8月 |
コオニユリ | 7~8月 | ナンブアザミ | 8~10月 |
ジャコウソウ | 7~8月 | シラヒゲソウ | 9~10月 |
登山口へのアクセス・各種情報
どちらの登山口へも、アクセスは車がおすすめです。冬季は、路面に積雪が合ったり凍結していることもありますので、十分にご注意ください。
斑尾高原スキー場登山口
登山口情報
斑尾高原スキー場の駐車場である斑尾高原ホテル前に400台ほど駐車可能な大きな駐車場があります。その少し上には、斑尾山登山者用駐車場もあります。登山口のチロルの少し手前に用意された、ゲレンデの端っこのような路肩の駐車場で数台が駐車可能です。
トイレは、スキー場駐車場の少し下の方に公衆トイレがあります。斑尾高原スキー場では、夏冬かかわらず様々なアクティビティが営業していますので、食事なども可能です。
登山口までのアクセス
飯山方面から
豊田飯山ICから車で約15分
妙高市方面から
妙高高原ICから車で約25分
まだらおの湯登山口
登山口情報
豊田飯山ICから斑尾高原スキー場に向かう途中にある温泉施設・まだらおの湯の駐車場です。施設正面の第一駐車場と道の向かいにある無舗装の第二駐車場がありますが、登山利用の場合には第二駐車場を利用するようにしましょう。
登山口までのアクセス
飯山方面から
豊田飯山ICから車で約10分
妙高市方面から
妙高高原ICから車で約30分
タングラムスキーサーカス登山口
登山口情報
斑尾山の北面にあるタングラムスキーサーカスの駐車場です。広大な駐車場があり、駐車スペースには困りません。また、各種施設も営業しています。野尻湖テラスまでは、夏季もリフト運行していますので利用可能です。
登山口までのアクセス
飯山方面から
豊田飯山ICから車で約25分
妙高市方面から
妙高高原ICから車で約20分
しらかば台登山口
登山口情報
斑尾山の西面にある菅川林道と斑尾林道の分岐起点付近の路肩スペースが駐車場になっています。野尻湖湖畔の菅川神社脇から登っていくと、舗装された林道が続いていきます。
3台ほどの小さな駐車スペースで、トイレ等の施設はありません。また、Googleマップでは、林道を道として表示されていません。通行には十分にご注意ください。
登山口までのアクセス
飯山方面から
豊田飯山ICから車で約25分
※林道入り口の菅川神社を目的地としています。
妙高市方面から
妙高高原ICから車で約20分
※林道入り口の菅川神社を目的地としています。
斑尾山周辺のおすすめ山旅スポット
まだらおの湯
斑尾山の西面、標高835mに位置する天然温泉の日帰り入浴施設です。泉質は、アルカリ性単純温泉で、ぬるっとした肌にやさしいお湯になっています。大きな内風呂の他に、露天風呂もあり、高原の涼しい風に当たりながらゆっくりとした時間を過ごすことができます。
また、食事処では地粉をもちいた手打ちそばを食べれるほか、宿泊施設やマレットゴルフ場、キャンプサイトなどの施設も併設されています。大変自然豊かな山の中で、斑尾山登山を中心に休日をすごす拠点におすすめの施設です。
LAMP野尻湖
斑尾山のふもとにある野尻湖湖畔に位置し、大自然の中で週末を思いっきり遊べる宿泊施設です。最も人気で有名な「THE SAUNA」は、至極のととのう体験ができる日本でも希少な本格的アウトドアサウナとなっています。
また、野尻湖を中心に山菜採りやSUP、ラフティングやキノコ狩り、スノーシュートレッキングなど、大自然の四季を楽しむ様々なアクティビティも用意されており、斑尾山や野尻湖周辺を満喫できます。