モンベルのダウンウェアには薄手、中厚手、厚手、極厚手の4種類のラインナップがあり、今回紹介するのは軽量性に優れた薄手タイプの中でも、最も軽量なプラズマ1000ダウン、防風・防滴性を備えたイグニスダウンパーカの2種類です。どちらも軽量ながらもそれぞれ特徴があり、気候や標高に応じて使い分けることで快適な登山を楽しむことができます。今回は紹介するモンベルのダウンウェアのデザイン的な特徴と、それぞれ2つのタウンウェアの違い、僕なりの使い分けについて紹介をします。
モンベルのダウンウェアの素材とデザイン的な特徴
モンベルのダウンウェアは他のブランドのダウンウェアとは異なるいくつかの特徴があります。今回紹介する2つのダウンがどのような特徴があるのか共通点について紹介をしていきます。
使用しているEXダウン
モンベルのタウンウェアに使用されているEXダウンは、一般的なダウンよりダウンボールが大きく熱の動きを遮断するデッドエアを多く蓄えることができます。そして少ないダウン量でも高い保温力が発揮するのが1000フィルパワーのEXダウンで、それ以外にEX900、EX800の全部で3種類あります。
今回紹介するプラズマ1000ダウンとイグニスダウンパーカはどちらも1000フィルパワーのEXダウンを使用しており、同重量のダウンでのロフトの比較写真を見てもわかるように、少ないダウンでも高い保温性能を持つことから、優れた軽量性を備えたモデルです。
独自のキルティングパターン
保温力を高めるために独自のキルティングパターンを採用しています。通常軽量なダウンジャケットはダウンの偏りを防ぐために小さな隔壁を作る必要があり、それによって縫い目が多くなります。縫い目が多いと、コールドスポットが多くなるため保温力が低下してしまいます。
この課題を解決するためにモンベルは縫い目が少ない独自のキルティングパターンを採用しています。これによってコールドスポットを大幅に減らすとともにキルティング量が減ることによる軽量化にも成功しています。
それぞれ2つのダウンウェアの違い
続いてそれぞれのダウンウェアの違いについて見ていきましょう。
スペックからみる違い
プラズマ1000ダウンジャケット
- 平均重量:130g
- 素材:7デニール・バリスティックエアライト®ナイロン・リップストップ
- 中綿:1000フィルパワー・EXダウン
- フード:なし
- ドローコード:なし
- ポケット:ハンドウォーマーポケット2つ
イグニスダウンパーカ
- 平均重量:278g
- 表地:ウィンドストッパー®ファブリクスバイゴアテックスラボ
- 素材:表/13デニール・バリスティックエアライト®ナイロン・リップストップ
裏/7デニール・バリスティックエアライト®ナイロン・タフタ - 中綿:1000フィルパワー・EXダウン
- フード:あり
- ドローコード:裾、フード
- ポケット:ジッパー付きハンドウォーマーポケット2つ、ジッパー付き胸ポケット1つ、内ポケット2つ
重量は使用されている素材と、フードのありなし、ポケットの数などによって平均重量で148g異なります。プラズマ1000ダウンジャケットは軽量性に振り切りながらも高い保温性に優れたダウンウェアなのに対し、イグニスダウンパーカの方は防風・防滴性に振り切りながらも軽量性にも優れたダウンウェアで、イグニスダウンパーカにおいては、アメリカを代表するアウトドア専門誌バックパッカーの2019エディターズチョイス・スノーアワードを受賞しています。
2022年までゴアテックスインフィニアムと呼ばれていた素材が2023年からウインドストッパーファブリクスbyゴアテックスラボと名前が変わりましたが、特徴は変わっておらず冷気をシャットアウトする防風性と、衣服内にこもった水蒸気を外に排出する透湿性に優れた素材で、軽量モデルのダウンウェアの中でも雨風が強いハードな環境下で安心感をもたらしてくれるダウンパーカーです。
ポケットの違い
軽量なプラズマ1000ダウンジャケットは、ジッパーがないハンドウォーマーポケット2つのみで、非常にシンプルな作りなのに対しイグニスダウンパーカはハンドウォーマーポケットにはジッパーがついており、ポケットの中に手を入れた時に、手の甲に当たる部分には基本素材が使用されているので、保温力に優れています。
左胸ポケットにはジッパー付きポケットが備わっておりスマートフォンを収納するのにちょうど良い大きさです。そしてどちらのポケットにも使用されているジッパーは高い止水性のあるアクアテクトジッパーを使用しているので、完全防水ではありませんがポケットの中に入れたものを濡らさないように保護することができます。
また内側には縦に大きなポケットが左右2つ設けられているので、大きめのグローブから小物などを体温で温めながら収納しておくことができます。
フィット調整機構
プラズマ1000ダウンジャケットはドローコードなどが一切なく非常にシンプルな作りです。イグニスダウンパーカはドローコードによって顔の周囲の調整が可能で、フードをかぶった時に冷気がフードの中に入らないようにフィット調整が可能です。また後頭部に取り付けられたベルクロでフードのツバの上下調整が可能で視界確保に優れています。
裾はハンドウォーマーポケットの中から出ているドローコードの先端を引っ張ることでフィット調整が可能で、裾からの冷気の侵入を防ぎます。
袖口はベルクロテープでフィット調整が可能で、これらのデザインからもわかるように風が強い場所でもしっかりと冷気を防ぐ調整機構が備わっていることがよくわかります。
2つのダウンウェアの使い分け
このように2つのダウンウェアを比べてみてわかるように、気候や標高によって使い分けることで安心で安全な登山を楽しむことができます。3シーズンでも暖かい季節においてはプラズマ1000ダウンジャケットが誇る軽量性は大きな武器になります。また厳冬期においてもフードがなくシンプルなデザインなのでインナーダウンに非常に使いやすいモデルです。
対して縦走登山に出かける時、9月にもなると標高3000m付近で風が強くなると体が痛くなるような寒さを感じたり、ときには暖かい気候でも寒気が入ると真冬のような寒さになるので、状況がなかなか読めないような登山ではイグニスダウンパーカは安心感の高い保温着です。