登山を初めてもう少し本格的にやってみたい初心者だけど、トレッキングポールって必要だろうかと思ったことはありませんか?また、トレッキングポールの購入を考えているけど、選び方がよくわからないから手が出しにくいということもあるでしょう。
トレッキングポールは身体の負担を減らしてくれるため、初心者から上級者までおすすめできるアイテムです。
この記事では、トレッキングポールについて、選び方や使い方を解説します。自分にあったトレッキングポールを探すのに、是非参考にしてください。
トレッキングポールとは
登山で使用するトレッキングポールとは、両手に持って使用する杖のようなものです。長時間登山をしていると、疲れて身体を支えるものがほしくなってきませんか?
そのようなときにトレッキングポールがあると、足にかかる力が分散されて楽になります。
登山初心者は体力の分配にも慣れていないことが多く、思わぬところで疲労が蓄積してしまうこともあります。トレッキングポールはそんな初心者もサポートするアイテムです。必須装備ではないですが、あると助かるおすすめ補助アイテムです。
トレッキングポールを使う4つのメリット
まずはトレッキングポールを使用すると得られる、以下の4つのメリットを確認しておきましょう。
1.推進力
2.負担の軽減
3.バランスを取る
4.避ける
ここで紹介するのは代表的なメリットですので、人によってはもっと多くのメリットを見つけられるでしょう。
1.平地や登りで推進力を得られる
腕の力も使えるため足腰の負担が軽減され歩くのが楽になり、推進力を得られます。登りではそのパワーを実感できるでしょう。
2.下りで膝や腰への負担を軽減できる
下り坂や階段では重力がかかるため、膝や腰に不安を覚えることがあります。しかしトレッキングポールがあれば、衝撃を和らげることができるため負担の軽減が可能です。
3.バランスを取りやすくなる
山道は整備されていない足場の不安定な場所も多く、転倒のリスクがあります。ガレ場などでは、両手でトレッキングポールを使えばバランスを取りやすくなるでしょう。
4.避けるのに使用する
山の中ではヘビなどが行く先を塞いでいたり、蜘蛛の巣がひろがっていたりと、先を塞ぐ障害に出会うこともあります。トレッキングポールがあれば、長さを利用して安全に避けることが可能です。
トレッキングポールの使い方
トレッキングポールの基本の使い方を確認しましょう。ストラップの輪の下から手をとおして、ストラップごとグリップをしっかり握ります。突き方は普段の歩行と同じように左足と右手が前に出るようにします。歩くときは前を見るようにしてください。
使い方と特徴 | |
平地 | ポールを握ったときに肘が90度の角度になる長さにポールを調節する。 トレッキングポールがあっても歩幅は小さめを保つ。 |
登り | 登りでは平地を歩くときよりもポールの長さを短くし、傾斜のある前方に突き出しやすくする。 腕の力を使い、登りの推進力を得ることが可能。 |
下り | 下りではポールをやや長めに調節する。 足を着くより先に、前方にポールを突くことで、足腰にかかる負担を軽減できる。 バランスも取りやすくなるため、転倒のリスクを減らせる。 |
トレッキングポール選びの基礎知識
トレッキングポールの選び方で重要なのは長さです。他にもトレッキングポールを選ぶ際のポイントである収納方式や素材などがありますが、身体に合っていない長さでは思わぬケガの元になります。
まずは押さえておくべきポイントを解説します。
出典SINANO
最適な長さ
トレッキングポールの最適な長さは、グリップを持って肘を直角に曲げたときにポールがまっすぐ地面につく長さです。長さ調節できるタイプが多いですが、商品によって最大最小の長さが異なります。
店舗で実際に持つことができればいいですが、インターネットなどで購入する場合は、
身長(cm)×0.63〜0.65
で求められる長さに調節できるかを目安としましょう。上りと下りで長さを調節することを考え、プラスマイナス10cmで探すのが大事です。腕の長さによっても変わるためひとつの目安として参考にしてください。
収納の構造
収納の構造は2種類あり、折りたたみ式と伸縮式があります。伸縮式はロックの方法でさらに分かれますので好みのものを選びましょう。
構造 | 特徴 |
折りたたみ式 | 各シャフトの中にワイヤーなどが通っており、使用するときにシャフトを組み立てる。 収納サイズが小さいためザックの中に入れたい方向け。 もし使用中に曲がってしまっても折りたたんで持って帰ってこられる。 個人でメンテナンスするのは難しいことも。 |
伸縮式 | シャフト内に各シャフトが収納されており、使用時にそれを引き出しロックして使用する。 3段式のものが多いため、折りたたみ式よりは大きくなることが多い。 使用中に曲げてしまった場合、縮めることができなくなることも。 分解しやすく、メンテナンスしやすい。 スクリューロックはネジ式なので固定が甘くなるとシャフトが縮むことがある。 レバーロックはレバーを開閉するだけなので、力の弱い女性でも安心でおすすめ。 |
シャフトの素材
シャフト部分の素材は、大きく分けてアルミ製とカーボン製の2種類です。アルミ製は強い力がかかると曲がりやすく、カーボン製は折れやすいという話を聞くこともありますが、強度は製品によって違うため一概には言えません。軽量化するために強度を低くして、曲がりやすい折れやすいといったポールもあるため、選んでしまわないようには気をつけましょう。
素材 | 特徴 |
アルミ製 | 手を出しやすい価格帯が多い。 曲がりやすいとはいえ、耐久性もあるので初心者に向いている。 |
カーボン製 | 軽量なものが多いが、やや高価。 一点に負担が集中すると折れることがある。 |
グリップの形状
グリップの形状は3種類ありI型、T型があり、2Way型というのもあります。登山メインであればI型か2Way型がおすすめです。
グリップの形状 | 特徴 |
I型 | 2本を両手に持って使用するタイプ。 左右交互に出すためリズムやバランスをとったり、推進力を得たりするのに向いている。 |
T型 | 平地やハイキングコースなどで使う1本タイプ。 下りのときは上から握るようにすることで、手首の負担を軽減。 |
2Way型(I型&T型) | I型とT型のメリットを備えているタイプ。 登りではI型のように使用、下りでは上から握るように使用するといった使い方ができる。 |
グリップの素材
グリップの素材はコルク、フォーム素材、ラバー素材が主なものとなっています。長く持つこともあるため、握り心地も選ぶ際に気にしてみてください。
グリップの素材 | 特徴 |
コルク | 耐水性にすぐれ、滑りにくい。 振動吸収にすぐれる。 やや高価になりやすい。 |
フォーム素材 | 握り心地がよく、吸水性が高い。 プラスチック製品なので経年劣化が早い。 |
ラバー素材 | ポールをついたときの衝撃を吸収しやすい。 素手で持つ場合は、汗で滑りやすくなる。 |
使用時の注意点
登山に便利なトレッキングポールですが、使用方法を間違えると思わぬ事故の元になります。以下で主要な注意点を確認しておきましょう。
体重のかけ方
「体重をかけたらトレッキングポールが縮んだけど、不良品ですか?」という質問がありますが、トレッキングポールはあくまでも歩行を補助するアイテムです。体重をかけすぎると、体勢が崩れ転倒する恐れもあります。
使わないときは収納する
道幅の狭い登山道では、登山者に当たる可能性があります。また、トレッキングポールが周囲の木や岩場に引っかかって転倒しやすくなります。使用時以外は、ザックの中に収納しましょう。両手を使う鎖場でも長いままぶら下げていると危険です。必ず収納しましょう。
点検とメンテナンスをする
安全に使用するため、使用前に各パーツの不具合やロックの緩みがないかなどの点検をおこないましょう。長く使用できるよう、破損部分がないか確認し、メンテナンスしておくことも大切です。
【初心者におすすめのトレッキングポール】
初心者がいきなり高価な登山アイテム・ギアを購入するのは、少し躊躇してしまいますよね。まずは手を出しやすい価格のトレッキングポールを紹介します。以下にあげる3点はレビューも多くあり、高評価なトレッキングポールです。
入門編として、ちょっと使用感を確かめてみたいときはこの価格帯でも良いでしょう。
コスパ最強!TRAIL BUDDY トレッキングポール
まずはトレッキングポールがどんなものか試しに使ってみたい!という方におすすめTRAIL BUDDYです。価格3,000円台というコスパ最強のトレッキングポール。
このトレッキングポールはカラーバリエーションも多くあり、自分にぴったりのカラーを見つけてみましょう。
シャフト素材 | 重量 | 構造 | 長さ | グリップ | 備考 | |
TRAIL BUDDY トレッキングポール | アルミ製 | 540g程度(2本) | 伸縮式 レバーロック | 収納時:62cm 使用時最長:137cm | I型 コルク | 付属品が充実 カラー8色 |
低価格SGマーク付き!DABADA トレッキングポール
DABADAのトレッキングポールも低価格ながら、SGマークも取得してあり最初の選択肢としておすすめです。スクリューロック式なので力が弱い人は少し気をつける必要があるでしょう。
また最長が120cmなので、身長の高い方は自分に適した長さかをしっかり確認してください。
シャフト素材 | 重量 | 構造 | 長さ | グリップ | 備考 | |
DABADA トレッキングポール | アルミ製 | 450g程度(2本) | 伸縮式 スクリューロック | 収納時:56.5cm 使用時最長:120cm | I型 EVA、コルク | SGマーク取得 アンチショックシステム |
お手頃カーボン!The Fit Lifeトレッキングポール
The Fit Lifeのカーボン製トレッキングポール。カーボン製ながら手を出しやすい約5,000円という価格です。カーボン製のトレッキングポールに興味がある、軽量トレッキングポールの使い心地を知ってみたいという方は参考にしてみるのもいいでしょう。
シャフト素材 | 重量 | 構造 | 長さ | グリップ | 備考 | |
The Fit Life トレッキングポール | カーボン製 | 425g程度(2本) | 伸縮式 レバーロック | 収納時:63cm 使用時最長:139cm | I型 EVA、コルク | グリップが27cmあり、シャフトの長さ調節をしなくても持つ位置で変えられる |
【高価格帯トレッキングポールを選ぶなら?】
なかには、いろいろ購入するより最初から信頼できるメーカーのものが欲しいという方や、低価格のトレッキングポールから高価格のものに買い替えたいという方もいるでしょう。
シナノは大正8年創業の日本ブランドですし、LEKI(レキ)やBlackDiamond(ブラックダイヤモンド)といった、トレッキングポールの有名メーカーもあります。どの製品もそれなりに高価ですが、強度もしっかりあるため安全に長く使えます。本格的に登山をするなら持っていたいトレッキングポールです。
シナノ(SINANO)トレッキングポール
言わずとしれたシナノのトレッキングポールです。アルミ製で伸縮式レバーロック式ということもあり、やや重さはありますが低価格帯の同重量と比べて強度がかなり違います。アンチショックシステムがあるためガンガン突いても手への負担が少ないのが特徴です。
シャフト素材 | 重量 | 構造 | 長さ | グリップ | 備考 | |
シナノ トレッキングポール | アルミ製 | 560g程度(2本) | 伸縮式 レバーロック | 収納時:66cm 使用時最長:125cm | I型 EVA | グリップ約32cm アンチショックシステム |
LEKI クレシダFX カーボン AS
ドイツの老舗有名ブランドLEKI(レキ)。海外製品なのでこのサイズはレディース向けのコンパクトモデルだそうですが、デザインが可愛らしいわけではないのでサイズが合えば男性にもおすすめです。高性能なアンチショックシステムを搭載しており、衝撃を40%も吸収するとのこと。
シャフト素材 | 重量 | 構造 | 長さ | グリップ | 備考 | |
LEKI クレシダFXカーボン AS | カーボン・アルミ製 | 500g程度(2本) | 折りたたみ式 レバーロック | 収納時:40cm 使用時最長:120cm | I型 コルク | カーボンとアルミを組み合わせた耐久性の良いモデル |
Black Diamond ディスタンスカーボンFLZ
アメリカの登山ブランドBlack Diamondもおすすめ有名メーカーです。こちらも登山をしていたら知っている方がほとんどでしょう。ディスタンスカーボンFLZはカーボン製の折りたたみ式で、軽量かつ強度にも優れています。折りたたんだサイズが40cm以下という持ち運びのしやすさは伸縮性にはない利点です。標高の高い山も視野に入れているならディスタンスカーボンFLZも選択肢に加えてみてください。
シャフト素材 | 重量 | 構造 | 長さ | グリップ | 備考 | |
Black Diamond ディスタンスカーボンFLZ | カーボン製 | 350g程度(2本) | 折りたたみ式 レバーロック | 収納時:37cm 使用時最長:125cm | I型 EVA | 付属のスノーバスケットは小型 |
まとめ:自分に合ったトレッキングポールを探しましょう
トレッキングポールは登山に必須装備ではないものの、登山をサポートしてくれるアイテムです。体力にはそこまで自信がないけど、仲間と登山を楽しみたいときにも良き相棒となってくれるでしょう。
まずは初心者向けで紹介したような、コスパの良いトレッキングポールから始めてもいいですし、継続して使い続けることを念頭に少し良いものを購入しても良いでしょう。なかにはカメラの一脚機能を付随させたトレッキングポールといった特殊なものもあります。
トレッキングポールを使用して安全で楽しい登山を楽しみたいですね。ぜひ自分に合うものを探してみてください。a