チェーンスパイクとは?

チェーンスパイクは、滑りやすい登山道でのグリップ力向上を目的とした軽量アイゼンです。本格的な12本爪アイゼンと比べて軽量・コンパクトで、冬季の低山ハイキングや、これから季節の変わり目に「お守り」として常にザックに携行できるのが最大の特徴です。特に「軽さ」は携行する心理的ハードルも下げるため、季節の変わり目に軽くてバランスの取れたモデルの一部を簡単に比較してみました。
今回はトレイルランニング専用のコンパクトなチェーンスパイクは対象外としています。一部のモデルでは雪や氷のある混合地形で十分なグリップを提供するものもありますが、登山道で求められる硬い雪氷への食いつき・岩の露出した斜面での耐久性・前爪の有無、爪の長さや数などの点で、通常のチェーンスパイクに比べて制限があるモデルが多いためです。
主な使用シーン
- 凍結した登山道
- 薄い雪が積もった登山道
- 滑りやすい木道や岩場
- 早朝の霜で滑りやすくなった登山道
- 夏季の雪渓歩行
- 湿った急斜面や泥地
- 沢の渡渉時
- 草や落ち葉で不安定な登山道
選び方のポイント
1. 重量
お守りとしての携行性を考えると、300g以下が理想的。最軽量モデルなら100g台も実現しています。
2. 着脱のしやすさ
グローブをしたままでも着脱できるデザインが重要。特に寒い環境での使いやすさを重視しましょう。
3. グリップ性能
爪の数、長さ、配置がグリップ力を左右します。用途に応じた選択が必要です。
4. 収納性
コンパクトに収納でき、ザックの中で邪魔にならないサイズ感が重要。
主要メーカー別 詳細比較
スノーライン チェーンセン トレイル

基本スペック
- 重量: 95g(Mサイズ 片側)
- 素材: ステンレススチール、シンセティックラバー
- 参考価格: 7,260円(税込)
特徴
チェーンスパイクの元祖メーカーであるスノーライン社の超軽量モデル。片側95gという軽量性と、30年以上の実績に裏打ちされた信頼性を両立。爪が非常に短く勾配の少ない登山道に適しており、13本爪のチェーンスパイクの中では2番目に軽いスペックです。チェーンや爪には雪や氷が消えた岩場を歩いても切れたり曲がったりすることのない2mm厚の高強度のステンレスが使われ、横ズレ防止のストラップも装備されています。
モンベル チェーンスパイク

出典:モンベル
基本スペック
- 重量: 143g(Mサイズ 片側)
- 素材: チェーン/ステンレス鋼、バンド/エラストマー
- 参考価格: 5,800円(税込)
特徴
これまでモンベルで販売されていたL.W.チェーンスパイクとチェーンスパイクの2モデルの良いところを合わせた統一のモデル。L.W.チェーンスパイクを継承したバンドの厚さは適度な薄さに仕上げられており、靴への装着が非常に簡単になっています。また、着脱の際に負荷がかかるアイレットとチェーンを繋げる金具は従来のチェーンスパイクで採用されていた大きくて丈夫なものを採用し、耐久性も向上。初心者から上級者まで安心して使用できるコストパフォーマンスに優れた製品です。
ブラックダイヤモンド アクセススパイク トラクションディバイス

出典:LOST ARROW
基本スペック
- 重量: 125g(Mサイズ 片側)
- 素材: ステンレス製チェーン
- 参考価格: 13,200円(税込)
特徴
ブラックダイヤモンドの登山・ハイキング向けモデル。アプローチシューズや冬山用登山靴に装着して冬季の本格登山道までのアプローチで使用したり、積雪・残雪期の低山ハイクに最適な設計。グローブをしたままでもスパイクの着脱を容易にするかかとについたウェビングループ、スリップ防止に役立つつま先センターの爪を装備。チェーンスパイクを装着した違和感を感じずに歩ける8mm長の爪と、軽量さが魅力です。
EVEWNEW FULL CHAIN CREAT

出典:エバニュー
基本スペック
- 重量: 127g(Mサイズ 片側)
- 素材: ステンレス製チェーン
- 参考価格:9,900円(税込)
特徴
バンド部分にハニカム構造を採用し、軽量性とフィット感を両立したモデル。爪は約10mmと長めで、足裏全体に11本を配置しており、水平移動の多い凍結路や緩斜面で安定したグリップを発揮します。チェーンスパイクでありがちなズレを防ぐ作り込みがされており、耐久性の高いステンレス素材を使用。携行性と安定性のバランスが良く、冬の低山ハイクや雪解け期の残雪歩行に安心感をもたらすエントリーモデルです。
ノルテック TRAIL2.4

出典:STATICBLOOM
基本スペック
- 重量: 85g(Mサイズ 片側)
- 素材: ステンレス製チェーン
- 原産国: イタリア
- 参考価格: 12,650円(税込)
特徴
イタリアのマイクロクランポン専門メーカーによる製品。とにかく軽いという評価を受けており、軽さの理由はチェーンではなくワイヤーを使って爪を連結しているため。「不安なのでとりあえず軽アイゼン持っていこう」という時に最適。チェーンタイプは絡まることがありますが、ワイヤーで全体の形が維持されやすいため装着時はチェーンタイプより簡単との評価もあります。ただし、軽さや利便性と引き換えに、無雪期の使用や岩場などが混じった登山道での使用には適しておりません。
各モデル比較表
メーカー | モデル | 重量(Mサイズ・片側) | 参考価格 |
---|---|---|---|
スノーライン | チェーンセン トレイル | 95g | ¥7,260 |
エバニュー | Full chain creat | 127g | ¥9,900 |
ブラックダイヤモンド | アクセススパイク トランクションディバイス | 125g | ¥13,200 |
モンベル | チェーンスパイク | 143g | ¥5,800 |
ノルテック | TRAIL2.4 | 85g | ¥12,650 |
使用上の注意点
装着時のポイント
- 事前のフィッティング確認: 山行前に必ず自宅で装着テストを実施
- 正しい位置への装着: 爪が均等に地面に接地するよう調整
- 定期的な点検: チェーンの摩耗や破損をチェック
メンテナンス
使用後は水分を拭き取り、完全に乾燥させる。錆防止のため、定期的な注油も必要。収納時はチェーンが絡まないよう整理しましょう。
まとめ
冬季の低山ハイキングや季節の変わり目において、チェーンスパイクは必携装備といえます。重量300g程度で得られる安全性を考えれば、コストパフォーマンスは非常に高い投資です。特に11月〜翌年4月の期間、標高1000m以上の山域では常に携行をおすすめします。また、夏の雪渓や湿った急斜面、沢の渡渉など年間を通じて活用できるため、無雪期での使用も想定してこのタイミングで揃えておくのが得策です。
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